No.1『お誕生日』(番外編) ページ41
普通。
四皇の誕生日とならば、数え切れないほどの海賊や取引相手などが祝う。
ほとんどの人間は、かの有名な四皇の顔を拝みに来たり、逆に自身の顔を覚えてもらおうとする為に、わざわざ遠いところから来る。
それは決して。百獣のカイドウも、例外ではない。
『············』
「い、いやー！こんな目出度い日が来るとは······！」
『うん。そうだねー』
冷や汗をダラダラと滝のように流している商人は、少しでもカイドウと親しくなろうと、徹夜で考えてきた世辞を言葉にする。
他にも。話にまったくと言っていいほど興味を示さないカイドウに、珍しい品々を差し出し、少しでも気を引こうとしている。
だが。当の本人はといえば、目の前の男に興味を持たないだけではなく、この宴自体、憂鬱に感じている。
────誕生日なんて、ただの呪い。
そう彼は思っていた。
5月1日は、彼がこの世界に生まれた(転生した)日であるが、絶望の始まりでもあった。
こんな世界に生まれなければ、自分は天国で自由に過ごせたのに。
何度もそんなことを頭の中で呟いては、泡のように消えていく。
そもそも。
前世の自分が何を願ったのかなど。記憶を無くした彼には、関係ない事だ。
カイドウは前世の願いを叶えてくれた“神様”には感謝しているが、この世界の目的には感謝していない。
むしろ、嫌悪感を抱いている。
────そんなことを頭の中で考えていると気がつけば、あの商人は消えていた。
自分の話に興味を持たなかったからという理由なのだろうが、「根性がないな」とカイドウは密かに呟く。
＼ゴクッゴクッ／
自分の顔以上の大きさを誇る盃に入った酒を、カイドウは美味そうに飲む。
元々。酒好きなカイドウは、毎日のように酒を飲みたいと思っている。
だが。酔いやすい体質と同時に、次の日の二日酔いがひどい為、余程のことがない限りは、猛毒で我慢しているのだ。
『······暇』
宴に浮かれ騒いでいる部下達の声に、カイドウの呟きはかき消される。
チラッと周りを見ると、ほとんどの人間は酔っているのか、馬鹿騒ぎを繰り返している。
大看板の三人も客人達と共に飲んでおり、カイドウの機嫌など知りもしなかった。
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ツッキー - 続き楽しみにしてます！番外編で大看板と飛六方の出会いのお話を見てみたいです。 (2020年3月22日 23時) (
レス) id: 1453811a49 (このIDを非表示/違反報告)
ツッキー - このお話の続きはないんですか？ (2020年3月14日 2時) (レス) id: 1453811a49 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ子(プロフ) - ツッキー様！ありがとうございます！ (2019年11月11日 20時) (レス) id: b72c18321b (このIDを非表示/違反報告)
ツッキー - とても面白いです。本編の続き楽しみにしてます。 (2019年11月11日 19時) (レス) id: 1453811a49 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ子(プロフ) - ツッキー様！リクエストありがとうございます！さっそく、書いてみますね！！ (2019年11月10日 18時) (レス) id: b72c18321b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒロ子 | 作成日時：2019年9月23日 17時
