“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ36)

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後悔させてやるページ36

『ロロノア達も、この巨人もまだ固まって時間が浅い！救えるぞ!!』

「本当か!!?」

　Mr.3と戦っていたルフィは、“救える”という三文字に動きを止めた。
　しかし、いくら時間が経ってないと言っても蝋に全身を包まれた身の4人の心臓は、1分もないうちに止まってしまうだろう。
　身動きどころか呼吸もとれない人間の命の灯火など、簡単に消えてしまうものだ。

「30秒もいらねェよ、今助けるぞ!!! 必殺!! “火炎”……」

『ウソップ!!』

　“そよ風息爆弾”!!!

「!!?」

　ガウン!!! と、爆発するMr.5の息。
　寸前のところで気が付き、助けに入ったAによってウソップは難を逃れる。

　敵は4人いるのだ。
　キャンドルを壊すのに「はいどうぞ」と快く笑顔でさせてくれるわけもなく、邪魔に入ったMr.5はAとウソップを睨みつけた。

『仕方ないな、ウソップ』

　Aから投げられたコートをキャッチしながら、ウソップは「うおっ」と声を漏らした。

『それ落とすなよ。ココヤシ村で気前のいい婆ちゃんから買ったやつでな、10万ベリーはしたぜ』

「じゅ……!!?」

『こう見えても、買ったばかりのやつを汚すのはどうも気が引けるんだ。爆薬の臭いがつくなんて以ての外だ』

「A……」

　Mr.5と対立すると、Aはひらひらとウソップに向けてナイフを持つ手を揺らした。
　遠近両用のMr.5と、遠距離専門のウソップでは相性が悪いと判断したAは、自らが挑むことにしたのだ。

　なんと心優しく、勇気のある男なのだろう。

『(おれの四肢もぐとか言ったこと後悔させてやる)』

　なんてことはなく、ただ鬱憤を晴らしたいだけだった。

「ゾロ達とブロギー師匠は任せろ!!」

『おう、頼んだぜ』

　息を巻いてぐっと親指を立てたウソップだが、残念ながらそう簡単にはいかないらしい。
　カルーとともに蝋人形になろうとしている4人を救おうと計画を立てている最中、「何を企んでいるの？」というセリフとともに現れたミス・バレンタインによって、10kg、100kgと骨が潰れる音を聞きながら己の魂を燃やすことになる。

　因みに、コートはウソップが文字通り命懸けで守っていた。

「いいのか、お仲間が絶体絶命だぜ？」

『敵の心配よりも自分の心配をしなくていいのか？これからあんた……死ぬぜ？』

「!?」

　ニヤッと笑ったAに、Mr.5は鳥肌を立たせた。