“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ35)

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朗報ページ35

目に見えない爆弾“そよ風息爆弾(ブリーズ・ブレス・ボム)”に、ウソップは無茶苦茶だと言い放った。

『度数は低め、マッチも腐りかけのやつを選んでおいた。おかげでそこまで燃えてないだろ？目ェ覚めたか？』

「ああ、さめた……サンキュー、もうくらわねェぞあんな絵の具」

　息を精一杯吸い込んだルフィは、覚めていなかった場合ともう一度キャンプファイヤーを企てていたAに急いで返事を返す。

「ハァ──!! ハァ──ッ!!! 一人だって死なせてたまるか!!!! も～～～～～～～イカッたぞ、おれは!!!」

『あァ、おれも同意だ』

　Aは腕を組むと、Mr.5を見つめた。
　先程からずっと思っていた、クロコダイルが彼らに命令した「四肢をもいでも連れて来い」という言葉がAはどうしても引っかかっていた。

『さ、反撃開始だ』

　ス──と、Aはレッグホルスターからナイフを抜き取る。
　葉巻と同じくココヤシ村で新調した得物(・・)は、今まで使っていた古い型よりも一回り細く、アイスピックのように長い。重心を保つために一部分に鉛が使われていた旧式とは違い、切れ味に特化したナイフは非常に軽く、ダーツのように狙ったものへと一直線に飛ぶことができる。

　武器よりも素手を使った戦闘が得意なAであるが、男としてはナイフぐらい華麗に使ってみたいもので、新調したナイフをくるくると回しながらやる気満々の顔をする。
　そして、ナイフを軽く握り、一歩踏み出そうとした──そのとき。

「出撃!! “キャンドルチャンピオン”!!!」

「うわああ～っ!!」

「何だあいつ」

『あんなもんも作れんのか』

　蝋の鎧を身にまとったMr.3が、その姿をあらわにした。
　かつて四千万以上の賞金首を相手にしたというMr.3の最高傑作は、まさに芸術品だろう。彼の鎧は、ゴールデンウィークの着色を施されたことによって、ルフィの目を奪うほどに美しく輝いて見えた。

「見とれとる場合か!! 戦え!!」

『(あっぶね、おれもかっこいいと思ってしまった)』

　すげーと言葉を零していたAは、ウソップの言葉に我に返ると「ん？」と何かに気がついた。

『喜べウソップ、朗報だ』

「え？」

『ルフィ!! そいつの蝋は火で溶ける!! いくら硬くても蝋は蝋だ!!!』

「!! そうか……なんで気が付かなかったんだ!!!」

　ウソップも気が付き、ハッとした表情で後ろで固まり続けるゾロ達とブロギーを見た。