“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ34)

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キャンプファイヤーページ34

“いい加減にしろ!!”

　ルフィの背中に蹴りを入れたAによって、服に描かれた絵の具が掠れる。ある程度消えてしまえば効果はないのか、正気に戻ったルフィはAに礼を伝えると、ミス・ゴールデンウィークへと攻撃を仕掛けた。

『どこ狙ってんだ』

　が、赤いマントに突進する闘牛のように、赤い絵の具で描かれた印を狙ってルフィは攻撃を繰り出すばかりだ。
　ルフィを面白そうに笑うゴールデンウィークに、Aは呆れからかため息をついた。

「A!! あんただけでも壊せないの!!?」

『おれはただルフィに従って来ただけで、助けるのはあいつの役目だ、ルフィに言えよ。それに、こんなでけェのはさすがに無理だ』

「使えねェな」

『サンジ呼ぶぞ、ロロノア』

　絶望的だと呟くビビ達とは対照的に、なぜか落ち着きのあるAはルフィを見た。
　いつのまにか赤から緑へと変化していた服の印によって、ルフィはゴールデンウィークとお茶を啜っている。この状況でよくもまあこんなことが……と、Aは頭を掻きむしる。

『(さて、どうするかなァ……このままあいつらを放置すれば、10億がパァ。ルフィを放置すればお茶ずっと飲んでるただの和み野郎……ま、やることは変わらずか)』

　真っ白に染まったゾロ、ビビ、ナミ、ブロギーは、ピクリとも動かない。先程まで話していた相手がこうも静かになると、なんだか寂しくなるというものだ。

「お茶がうめェ……お茶が……」

「あなたもどう？美味しいわよ、お茶」

『そうかい。ま、悪いがおれは茶より酒派だ』

「…………!!」

　スキットルを片手に、火のついたマッチを片手に笑顔を浮かべたAは、ルフィの頭に酒を浴びせる。

「お茶が……」

『あとキャンプファイヤーが好き』

「うわああああああっ!!!」

　服を燃やして根こそぎ暗示を消してやろう、ついでに日頃の鬱憤を今ここで晴らしてやろう、というAの企みによって、ルフィは一瞬だけだが炎に包まれた。

「何やってんだA!!?」

『見たらわかるだろ？キャンプファイヤーだ』

　Mr.5とミス・バレンタインと鬼ごっこをしていたウソップとカルーは、現れるなりそうそうAに驚きの顔を見せた。
　しかし、鬼ごっこ中によそ見などしてはならない。
　Mr.5の起爆する息により、爆発に巻き込まれたウソップとカルー。威力は少ないのか、そのままやられることなく痛みを堪えて立ち上がった。