“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ3)

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歓迎の町“ウイスキーピーク” ページ3

Aが眠っている間に、クロッカスとラブーンとの別れを得て双子岬から出航したナミ達は、偉大なる航路の気候に振り回されていたらしく、今にも死にそうな表情で甲板に倒れ込んでいた。

　たんこぶが出来た頭をさするAの隣で、ゾロも頭を押さえてうずくまっている。どうやら彼もナミにしばかれたらしい。ひとつ、Aと違うのは殴られた威力とたんこぶの数だ。

『なんでお前ら船に乗ってんだ？』

「お前もおそーーーっ!!!」

大の字で横たわるMr.9とウェンズデーの二人に気づいたAは、ルフィから彼らの目的地へ向かっていることを告げられる。
　特別な理由も義理もないのに、どこぞの馬の骨とも知らないゴロツキを送っているルフィに、Aは呆れた顔を見せた。

　そんなAに、ウソップはサンジが作った握り飯を渡す。時間がたって米の食感が少し硬くなっているが、味は変わらない美味しさを保っていた。

「っにしても、お前らよく寝れたな。雪の中でも雨の中でもグーグーと」

『内容は忘れたが、夢見はよかったぜ。久しぶりに良い夢を見た気分だ』

　指についた米を舐めとるAに、「次はちゃんと起きててくれよ」とウソップは言う。
　しかし、その“次”となる波乱な航海は、少なくとも記録(ログ)がたまるまではないことだ。

「島だァ!!!」

「でっけーサボテンがあるぞ!!!」

　初めての偉大なる航路に振り回されながらも辿り着いた島の名は「ウイスキーピーク」。
　山のように生え広がる巨大サボテンが特徴の島であり、ゴロツキことMr.9とウェンズデーの目的地だ。

「それでは我らはこの辺でおいとまさせて頂くよ!!」

「縁があったらなら、いずれまた!!」

「「バイバイベイビー」」

　そう言うと、Mr.9とウェンズデーは船が上陸する前に海へと飛び込んで姿を消してしまった。
　いったい何者だったのか分からない二人であったが、人助けをするとロクなことにならないことを知ったAは、もう二度と人助けはしないと心に刻んだ。

　ウイスキーピークに上陸したA達は、予想外の歓迎ともてなしに驚かされながらも町へ足を踏み入れた。
　町の長であるイガラッポイという男も、海賊であるA達を笑顔で歓迎しており、どうやらこの町では「もてなし」が誇りとのこと。

『んで、さっそく宴かよ』

　ウイスキーピークの日が暮れると同時に始まった宴に、Aは苦笑を浮かべた。