困難に進むよどこまでも ページ14
「不運ね……B・Wに命を狙われる王女を拾ったあなた達も、こんな少数海賊に護衛される王女も……!!」
ロビンはそんな哀れな王女様に、今以上哀れな情報を優しく教える。
王女様ことビビの何よりもの不運は、記録指針が示す進路。土地の名は“リトルガーデン”と呼び、噂では太古の生き物が生息する脅威の島だとかなんとか。その島に足を踏み出したら最後、巨大な生物の足に為す術なく地面の肥料と化すだけだ。
それを見兼ねてか、それとも悪戯心か、ロビンはビビに“社員も知らないある島”の
「それで困難を乗り越えられるわ」
『……罠だろ、下手な真似はするもんじゃねェぜ』
「どうかしら……」
Aとロビンのバチバチと火花が散る睨み合いに、ルフィの声が仲裁となる。
「そんなの、どっちだっていい……!!」
バキバキッ！
ルフィは、ためらいなく永久指針を握りつぶした。
これには今まで大人しく話を聞いていたナミもお怒りのご様子で、ルフィに蹴りをお見舞した。
楽に行ける航路を教えてもらった、と騒ぐナミを無視してルフィはロビンに叫ぶ。
「この船の進路をお前が決めるなよ!!!!」
『あァ、だな』
「……そう、残念…」
難アリな性格でも人柄でも、彼はこの船の船長であり、この船の中で絶対的な権力を持つ人間だ。
冒険好きなルフィが人に言われてはいそうですか、と通りに動くとはハナから思ってもいないAは、これが当然の結果なのだと鼻で笑う。
『聞いたろ、船長の命令だ。あんたの指示には、従わねェんだと。分かったらとっとと帰りなお嬢さん』
「……私は、威勢のいい奴はキライじゃないわ……嫌味ったらしい男もね……」
『そりゃァどうも』
からかうのがお上手と言いたげな視線を向けたAは、「生きてたら、また逢いましょ」というロビンにしっしと手を動かした。
巨大なカメに乗り、去っていくロビンの背中を見つめながら、Aはクロコダイルの顔を思い出す。
『早く手を打たねェとなァ……バナナを餌に釣り上げられるなら楽なんだが』
「バナナ？ 釣り？ 魚の話か？」
『あァ、いや……ワニの捕獲の話だ』
いつの間にか自分に冷たい視線を向けていたゾロに、Aは苦笑を浮かべる。
ロビンにどこまで話しているのかは知らないが、任務が邪魔されることがないことを神に祈りながら、まだ煙の余韻が残る葉巻を握りつぶした。
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作者名：ヒロ子 | 作成日時：2022年9月22日 19時
