“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ12)

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アダルトページ12

人の屍を乗り越えなければ、人は再び笑顔を浮かべることは出来ない。
　イガラムの死から数分、乗り越える暇すら与えてもらえないビビとA達一行は、ただ漠然と次なる航路を求めて船を進める。

「おいっ何でだよ!? なんでもう船出してんだ!!? 待ってくれよ、もう一晩くらい泊まっていこうぜ。楽しい町だし女の子はかわいいしよォ!!! 男のお前なら分かるだろA!!!」

『悪いが、おれのタイプは“金を持ってる人間”だ。女だろうが男だろうが興味無い。金持ちで羽振りのいい奴なら、カマ野郎だろうがゲリ野郎だろうが心の底から愛す。もちろん、価値が無くなれば捨てる』

「最低かお前!!! なあ、こんないい思い、今度はいつできるか分からねェぞ!!? ゆったりいこうぜ、おれ達は海賊だろ!? まだ朝にもなってねェしよ!!! 戻ろうぜ、おい聞いてんのかA!!! 女に興味がなくても、酒とか飲めるんだぞ!!!」

『酒よりも金がいい』

「「お前ホンッット最低だなッコンチクショーーー!!!!」」

　騒動の一件を知らないサンジとウソップに泣きつかれたことでコートが鼻水と涙で濡れに濡れたAは、ため息と一緒に彼らの頭の上に拳を落とした。

『ったく、なんで阿呆な奴ほど人の話を聞かないのかねェ』

「そーだな、まったくその通りだ!!」

『ルフィ、おれはお前にも言ってんだよ』

　ゾロの話を聞かず、一方的に殴り合いを勃発させたルフィの頭にも拳が落とされた。

　朝が近づくとともに、霧がメリー号の視界を遮る。
　歓迎という名の地獄への歓送をプレゼントしてきた町とも、これでお別れだ。

　しかし、島から出るまでが出航だ。最後まで気を抜くことはできない。
　なぜなら──

「船を岩場にぶつけないように気をつけなきゃね。あー追っ手から逃げられてよかった♡」

『おいおい、何言ってんだよ……まったく良くねェよ』

　美しい美女が、船に無断で侵入しているかもしれないのだから。

「あら、貴方は気づいてたのね。残念だわ、気配を消すのは私の得意分野なのに」

『こんな上玉の気配に気づけないほど、おれは男を捨ててねェよ』

「口がお上手ね」

　嘘に塗り固められたアダルト臭漂う会話が、尚のことルフィ達を女に注目させた。

　黒髪を靡かせる美女の名は、ニコ・ロビン。
　バロックワークスの副社長として“ミス・オールサンデー“の名で社長のパートナーを務め、唯一幹部の中でクロコダイルの存在を知っている人物だ。