３ ページ4
講義が始まるとゆっぐるは飽きたのか疲れたのか、すやすやと眠ってしまった。が、こちらはハラハラである。新種の動物なんて、それなりの機関に持っていくと良い値段で売れる。こんなにかわいい生き物を、売る予定はない！
普段は講義のひとつもサボりはしないけど、今日だけは特別である。
「ごめん、我が友人よ。今日体調悪いから帰るわ」
「えっなんで？どうした？」
「猫触った」
「バカじゃん……。わかったわかった。先生言っとくね」
ありがと、なんて言いながら友人に別れを告げる。ゆっぐるを潰さないように手で優しく包み込みながら、家に持って帰った。
「……まずは食事かな。君は何を食べるのかな？」
ちょっと深めの箱にゆっぐるを入れて、冷蔵庫を漁る。ソーセージ、キャベツ、チーズ…、ゆで卵。とりあえずそれら集めて、ゆっぐるの前に置いてみる。
「ゆ？ゆ〜」
ゆっぐるは食材の側までぽてぽて跳ねていって、くんくんと匂いを嗅ぎ、そのまま食べた。それを見つめてわかったのは、ゆっぐるはなんでも食べるということだ。
食べたものと食べる速度、見た目を紙に書き込んでいる最中に、机の横に置いてあったクッキーまで食べてしまった。楽しみにしてたのに…。
ゆっぐるは軽くぴょん、と飛んで前に進む。人間の頭部と同じパーツがあって、もちもちしている。口の中は小さすぎて見えない。
……じっと見つめていると、少し顔を赤くして目を逸らし、「ゆ〜…ぐ〜…」と鳴く。
今わかるのはこれくらいだ。私の手に擦り寄ってくぅくぅと眠るゆっぐるを見て、なんだか気が抜けた。
「かわよ……。…………にしてもよ。明日、グルッぺンさんに返しに行こ」
次の日、ゆっぐるを連れて講義が始まるずっと前の時間に教室へ向かう。そこにはグルッペンさんがいた。
……それと、もう一人。
「……えっと」
「初めまして、餅屋さん。私はエーミールと申します」
「実はな、コイツのところにもゆっぐる…みたいなものが出てな。ゆっえみと名付けた」
「えっ言い難い」
「ゆぇ！」
餅がもう一匹増えました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 455人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - うわ……さいっこう…打ち切り状態とか作者様言うてたけど…最高…もうこれしか言葉出てきまへんで？ (2021年1月14日 6時) (
レス) id: 8bbb46866f (このIDを非表示/違反報告)
私猫(プロフ) - あ、黒色サンが認めるところも見てみたかった((( (2021年1月12日 21時) (レス) id: a5b5a226ba (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - eさんだけかと思ったらみんなも…そしてゆっくり達は…もう語彙力が無さすぎてなるほど…なるほど…という気持ちでいっぱいです(語彙力)発想が本当にすごすぎる！！天才…完結おめでとうございます！！素敵な作品をありがとうございました！！！ (2021年1月5日 22時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
天の河 - んんん！素敵な作品を有難う御座いました！もう発想が凄すぎて…。完結おめでとうございます！ (2021年1月5日 20時) (レス) id: cb69af0fdb (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - なのなさん» コメントありがとうございます！そう言ってくださると嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 1e4b41ea08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年1月2日 3時
