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山札から二人に交互にカードを配る。この時点でのイカサマは特にいらない。最初は持ち上げておかないと、大金を吐き出す人間にはならないからだ。
このカジノに来る時点で鬱くんだってまともな人間ではないのはわかっているんだから。
しばらく無言が続いて、ペアになったカードを真ん中に捨てていく音だけが聞こえる。片手で持てるくらいの枚数になったタイミングでお互いの手が止まる。
「どっちから引く？」
「そりゃレディファーストやろ」
そう言ってカードを私に近付ける。私は適当な勘で一枚引いた。
「残念、はずれ」
「じゃあこっちやな」
静かではない空間で、無言の時間が続く。オールドミスは戦略性もなにもないゲームだから、正直少し詰まらない。
鬱くんが取った一枚はどうやら手持ちにあったらしく、残念ながら既にもう勝負は着きそうだった。このゲーム、二人でやるようなゲームじゃなかったなぁ。
「んー……、このセットが終わったらゲーム変えない？面白くないや」
「ん？ええで。何しよか。……そういやスロットってうさちゃんとなんか出来たりすんの？」
「スロット興味あるの？チップ弾んでくれたら、当たりやすい台教えてあげるけど？」
「マ？じゃあ六十万チップで渡すわ。このゲームやめよ」
そう言ってカードをテーブルに伏せ、六十万をそのまま私にずい、と押し込んだ。私はその札束を受け取り、鬱くんの腕を軽く撫で、手を引く。
「ゴールド台ならF、ノーマル台なら…んー、Cかな」
「見てわかるモンなん？」
「毎日見てるとね、調整者の癖みたいなものがわかるんだぁ。後は鬱くんの運任せかな」
「教えてくれてありがとな、ちょっと遊んでみるわ」
そう言って10枚くらいの札をセクハラがてらバニー服にねじ込もうとするその手を優しく取り、ちゅ、と軽く口付ける。
「勝ったらまたカードで遊ぼうね」
そう言って緩く手を振ってテーブルに戻る。テーブルから視線を向ければ、鬱くんはタバコを取り出しながらゴールド台に向かっていた。
トランプを回収してゴミ箱に捨て、貰ったチップを持ちながら、店長の元へ向かう。
「……てんちょー、Fのゴールド台でスロット回してる男、多分カジノ探りに来てる人だと思うからオーナーに伝えて警戒しといて」
「え、な、なぜです？」
「強いて言うなら勘。……オーナーはそこそこ私の勘重要視してんだから早くして？」
店長は慌てた様子でどこかに電話を掛けはじめる。その姿を横目に、裏口からカジノを出た。
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……？？えっっ…アッ、やめときますね！！((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです！！完結おめでとうございます…！！ (2021年4月7日 13時) (
レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます！お疲れ様です！ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……！！これからも期待しています！！頑張ってください！！！ (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます！ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします！ (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年3月4日 19時
