【wrwrd】我々アングラ世界に生きし者

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一日ぶりにカジノが始動した。いつものようにバニー服に身体を詰め込む。同室の子はまだ眠っていて、少し気まずいから早めに部屋を出た。
少し高めのヒールを履いて、寮を出てカジノの裏口から中に入る。

少し長い階段を一段ずつ下がれば、そこは従業員専用の入口だ。

「あ、Aさん……」
「てんちょー、おつかれぇ〜。連絡事項とかある？」
「特に無いですが、その、ガサ入れには気を付けろって……」
「りょーかい」

店長は私と目を合わせようとしない。……まぁ全員と目を合わせようとしないんだけど。元々、誰かに楯突いたりしたら何も出来ないんだから仕方ないか。
ここのカジノは男性は女性よりも地位が低い。オーナー以外の男性はそこらへんから拾ってきた人間で、人格をオーナーに矯正されてここで働いている。

捨てられたら何も出来ないゴミクズ人間だと言うことを刷り込まれ、そして従順な犬になる……みたいなことを言ってたかな。正直興味が無くて聞き流していたんだけど。

適当なカジノテーブルに立ち、軽く周りを掃除して暇潰しにトランプをもてあそぶ。
まだ夕方に差し掛かったくらいだから、相変わらず人はまばらで暇だ。……そう思った直後、ふと名前を呼ばれた。

「あれ、Aちゃん？」

名前を呼ばれた方向へと顔を向ければ、そこには眼鏡を掛けた陰鬱そうな顔の男。ハートのエースを渡した男だと言うのはすぐに思い出した。

「あ、へんたいのお兄さんだ」
「そんな覚え方してんの？気軽に鬱くん♡って呼んでや」
「じゃあ鬱くん♡あーそぼ♡」
「かわいいえっちなうさちゃんにそんなん言われたら遊ぶしかないやんなぁ」

鼻を伸ばしたような顔で目の前の椅子に座る鬱くん。彼の名前っててっきり"大先生"だと思ってたんだけど違うんだなぁ。

「何して遊ぶ？ポーカー？ブラックジャック？他のも遊べるよぉ」
「うーん……、じゃあオールドミス(ババ抜き)とか？」
「んー……、わかった」

オールドミス用にトランプを軽くシャッフルして、その山札の中から適当に一枚を選んで裏返したまま端に寄せる。

「鬱くんが賭けて良い対象は二つ。鬱くんが負けるか、勝つか。もしくは、この抜いたカードが赤か黒か。片方だけに賭けても良いし、両方賭けても良い。ただし、両方賭けた場合片方は私のチップになる。……どう？」
「ええで。まぁまずは小手調べでこれくらい…」

鬱くんはテーブルの上に六十万を置いた。

「俺が勝って、カードは黒」
「じゃあ配るね！」

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