最終話 ページ34
「お客さん、もう賭けるモノないんじゃない？」
目の前で絶望に満ちた顔をしている男を見て思わずくすくすと笑った。テーブルにはロイヤルストレートフラッシュのカード。男はワナワナと震えた。
「わ、わかった！白尾会社についての情報を吐く！」
「やったー！ちなみに嘘ついたってわかった時点で、夜道は歩けないと思ってね？」
私はボイスレコーダーをテーブルに置いてスイッチを押した。男は観念したようにスラスラとなにかの情報を呟く。正直なんの情報なのかはわからないけど、グルッペンさんはこれを求めているらしい。
カチ、と止めるボタンを押せば男は逃げるように入口へと。
私はそれを見送り、カウンターに座っている男の前へと歩いて行く。
「せんせー、今日もサボり？」
「Aちゃんに会いに来てん。にしても相変わらず見事なイカサマ裁きやわぁ」
「今日はイカサマしてないけどねぇ」
「そうなん？……どう？なんか不自由してることない？」
私はぐるりとカジノ内を見渡す。決して多くはない人数に、清潔な店内。お客さんのほとんどは顔見知りで。
「んー、特にないよ。身売りも強制じゃなくなって喜んでる娘が多いし、裸にされるお客さんもいないし。楽しんでゲーム出来てるし」
「そりゃ良かった。グルちゃんに言うとくな」
鬱先生はにへらぁ、といつもと変わらない笑みを浮かべる。
「……でもね、寮に戻ると料理とか教えられるのはちょっと不満。そんなに私が邪魔なら、責任者なんかにしなきゃ良いのに」
「いや、それはちゃうやん。Aちゃんが一人でも生きてけるようにと思って……」
「ほんと？厄介払いしたいだけじゃないの？」
「そんな信用ない！？」
私はぶす、と頬を膨らませる。それが本意かどうかはわからない。いつか私が厄介払いされる日がくるかもしれない。けれどそれならそれで良いと今は思っている。一生分の幸せというものは、恐らくもう受け取ったから。
「鬱先生、ゲームしない？」
「賭ける物なんて持ってきてへんけど……」
「賭ける物ならココにあるでしょ？」
私はボイスレコーダーをチラつかせる。サッと表情が青くなった鬱先生。
「……え、素直に渡してくれへんの？」
「鬱先生が遊んでくれるなら考えるかも」
鬱先生は観念したようにカウンターから出てきた。くすくすと笑いながら私はテーブルに向かう。これからも、楽しく遊んでいられれば良いなぁ。そう思いながらカードを切った。
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……？？えっっ…アッ、やめときますね！！((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです！！完結おめでとうございます…！！ (2021年4月7日 13時) (
レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます！お疲れ様です！ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……！！これからも期待しています！！頑張ってください！！！ (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます！ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします！ (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年3月4日 19時
