２ ページ3
目が覚めると、またカウンターに居た。
「……また夢の世界なのかな」
ぐいーっと頬をつねれば痛くて涙が出る。
夢じゃない、らしい。
カウンターの下にある箱を開けてみれば、紙が入っていた。読んでみると、スキルエッグの説明と、私以外の店員はNPCだと言うこと、他の人に伝えてはいけないこと。他にも色々書いてはあるけど、読み続ける途中に聞こえた声に顔をあげた。
「あ、今日はスキルエッグの店員おるで！」
「……待て待て待てシッマ、あれは店員ちゃうやろ。……ちゃうよな？」
「ほ、他の店員は村人やのに、なん、なんでアイツだけ俺らと同じ見た目なん…？」
青い人と、黒色の人、赤い人、緑色の人。四人の人が目の前に立っていて、この世界で初めて見る人間にちょっと嬉しくなった。
「えっと…ようこそ？スキルエッグ、売ってます」
しばらくの沈黙。
その後、一際大きな声で緑色の人が叫んだ。
「しゃ、ｼｬﾍﾞｯﾀｰ!!」
それを皮切りに他の3人もザワザワとしだした。と思いきや青色の人がこちらに近寄ってくる。
「君かわい〜ね、何歳？どこ住み？」
「えっ、え？」
「アホ！すんませんうちのが」
すぐさま赤い人が引きずって連れ戻して行ってしまった。どうやら四人で作戦会議をしているらしい。
さっきの紙をもう一度見てみる。私は彼らに、本当はこの世界の住人であることを言ってはいけないらしい。言ってしまったらどうなるか、想像はたやすいだろう。
しばらく待っていれば、赤い人がこちらにやってきた。
「あ、あのー……、スキルエッグ欲しいんですけどぉ」
「赤いの？青いの？」
「あ、置いてるん？どっちも、100個くらい欲しいんやけど。……です」
私はコクコクと頷いて、足元に出てきたスキルエッグを袋に入れて手渡した。個数はぴったり100個。袋を持った状態でスキルエッグを持ち、個数を思い浮かべるとその個数分が袋に移された。
赤い人が袋を受け取ると、青い人がまたやってきた。
「僕鬱っていいますぅ。君の名前は？なんで君だけ村人じゃないの？」
「あ、Aです。……村人？って言うのが分からないけど、普通に店員やってるだけですよ」
「ちな、コイツはトントン。あっちの緑の忍者はゾムで、黒い服着てるのはコネシマ。俺のことは気軽に鬱先生♡って呼んでな？よろしくAちゃん」
「え、あ、はい、よろしくお願い、します…？」
その日から私と四人…後日一人増えて五人になる人達の関わりが始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 672人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なのな(プロフ) - ランドルせさん» よ、よかったぁ！やっぱりそうでしたか！細かいところまで考えられていて本当にすごいです…！！感動しました… (2021年1月9日 8時) (
レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - なのなさん» よく気付きましたね！狩人が連れて行ったのも、彼がこっそり設置したことに関係してます！私もうろ覚えで書いていたので、気付かれると思ってませんでした笑。普段は完結済みの作品に来たコメントは返さないんですが、気付いてくれて嬉しいのでつい返事しちゃいました笑 (2021年1月9日 0時) (レス) id: 1e4b41ea08 (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - もし違ってて不快な思いされたらすみません、読み返してて思ったのですが、夢主が拠点に移住？したのって本編でスキルエッグ無限看板みたいなのが設置された…あれ…ですか……？語彙力なくてすいません…あと記憶違い…かもです…もし違ったら本当ごめんなさい… (2021年1月8日 22時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ミミッキュ(プロフ) - 面白くてイッキ見しました！最後のスキルエッグ売ってますのとこ滅茶苦茶感動して泣きそうになりました…（）完結おめでとうございます! (2021年1月7日 17時) (レス) id: 1f364383be (このIDを非表示/違反報告)
らいら(プロフ) - うわぁ今日学校あんのに見てしもた…めっちゃ好きです…！！ (2021年1月7日 3時) (レス) id: d17bc84797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年1月1日 2時
