001:砦骸へようこそ ページ1
＊＊＊
この世界に生きていれば、誘拐や捕虜として束縛されることなど日常茶飯事である。
それが情報と力を持ち、敵対組織が多い、あの中島敦くん所属の武装探偵社ならばなおさら。
「──おや、お目覚めですか」
なおさら───。
目を開ければ、あの魔人──フョードル・ドストエフスキーがこちらを覗いていたり。
全然有り得るんですよね。
なんて、
「───んなこたあるかァ！！！！！」
「急に起き上がると危ないですよ。
気分はどうです？」
「あ！？！最ッ悪だよ、え？てかなんで平然としてるの？？私がおかしいの？？」
「気分は良さそうですね、よかったです」
言葉のドッチボールですか？？どうした？テニスと野球？どうした？？
いや、まさか目が覚めたら魔人が居ましたあ。
なんて日常茶飯事だったら世界滅亡レベルなんですが、どういう状態でしょうか。
「……夢じゃないの、これ」
血の登った頭のこめかみを抑えて、まずは見覚えのない辺りを見渡した。
検討もつかないそこはどうやら教会のような造りで、太陽に反射しているのか7色の光が輝いている。
ご丁寧に私は毛布までかけられて
今までぐっすりと眠っていたようだった。
今は澁澤龍彦の事件の真っ只中だったというのにここは───
「太宰くんが貴女を運び込んだんですよ」
「…太宰さん……？」
何故太宰───うちの糞ノッポ放浪者上司の名前が出てくるのだろう。たしか太宰さんは行方不明だったはずだ。
意味がわからず顔をゆがめた私に、傍に座っていたドストエフスキーが口元に弧を描いて頷いた。
「貴女の異能力は厄介なので」
「それは光栄ですね…」
「ぼくの手元に、と思うのですが」
「それはとんだ迷惑ですね…」
初対面です魔人さん。
こんな喋るの？黙ってて？と整理のつかない頭の中で唱える。そうすれば、氷の上を歩くような足音が、扉の開く音と共に入ってきた。
「…あーあ、残念です。聞きましたか？
みごとに断られてしまいました───太宰くん」
「……あ？」
徐々に近づく靴音。
そして私達に懸かる影。
怪訝に眉を顰めた、音の根源。
現れたのは────何時もの砂色の外套とは違う、白いスーツを纏った上司。
「そりゃあそうだろうねえ」
太宰治だった。
「……太宰さん？一応聞きますけど、何をやってらっしゃるのでしょうか？？」
「あーあーそんなに睨まないで呉たまえA
可愛いお顔が台無」
「黙ってて」
「酷い」
.
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三斗(トリップ願望者) - 更新をお願い致します！(土下座)楽しみにしてます！ (2022年6月23日 0時) (
レス) @page11 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
太宰治 - この作品大好きです！お忙しいかもしれませんが、是非続きが読みたいです！ (2021年3月26日 10時) (レス) id: 09b07293c3 (このIDを非表示/違反報告)
白壇 - 言葉選びも展開も面白いです！好きです!!抱いて((天才ですか!?お忙しいのだと思いますが、是非続きが読みたいです…！ (2019年11月27日 1時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
宰原叶(プロフ) - 専門学生はつらいよさん» いえいえ！頑張ってください!! (2019年8月17日 21時) (レス) id: a120f73047 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - いえいえ(* ´ ▽ ` *)これからも更新楽しみにしてますね！無理しない程度に頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年8月17日 20時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社畜 | 作成日時：2019年8月7日 10時
