暁の吸血鬼 2【柊深夜】

story 56 ページ24

『人間よ……最期だ‼』





ｸﾞ ｻ ｯ





槍斧は人間の心の臓を貫いた。



人間は口から一気に血を吐き出し、

武器を手放した。





『ははは……

哀れですね。』





.





.





そう、たしかに貫いた。



槍斧は人間の身体を貫いたのだ。





.




.




なのに何故、私は今……温もりを感じている?




状況をうまく飲み込めない。



何が起こっているのですか……?





「ハァ……っ……ハァ」




耳元で聞こえる人間の荒い呼吸。



ふと右を見れば、近くにある人間の顔。







『貴様っ……何を……っ』




＿＿＿＿＿何故、私は抱き締められている……?




混乱が覆う中、荒い呼吸で人間が口を開いた。





.





「Aちゃん……ごめん、ね……っ


僕は彼氏失格だ……っ。



大切な恋人さえも…守れない……救えなかった
っ……」





＿＿＿＿＿違…う……





「Aちゃんの苦しみを分かってやれなかった……っ……」





＿＿＿＿＿違う……






.





＿＿＿＿＿＿＿違う……っ





私の目からポロと涙が零れた。

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