黒電話 × 登坂広臣 (ページ14)

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それから放課後までAから
電話がかかってくる事はなかった。

臣「おい、A ー。
お前そこにいるんだろ？電話かけねぇの？」

俺は帰り道を歩きながら
何もない筈の空間に話し掛けた。

周りから見たらさぞかし変な奴に見えることだろう。

・・・。

臣「なあ、A ！
家に帰ったら充電しちゃうからな！
充電中は電話できないんだからな！」

本当は携帯の電池はまだ半分もあった。

ただ、あまりにもAからの反応が無いから
俺は少し驚かすつもりだった。

___ リリリリン ♪

ポケットの中から聞こえた音
それは俺の携帯の着信音だった。

ディスプレイに映し出された名前は

'' 田中A ''

臣「もしもし … A ？」

「臣ぃ … っ」

受話器の奥から今にも泣きそうなAの声が聞こえた。

臣「なんだよ、どうしたんだよお前 … 」

Aの声につられて、
俺の声まで情けないような泣きそうな声になる。

今理由を聞かないとキミが

'' 消えちゃう '' んじゃないのかって。

俺は自分が思っていたよりもずっと
Aの声を必要としていたらしい。

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