ひゃくななじゅうなな ページ32
これからオリジナルパートが多くなる予定です。苦手な方は自衛してください。
＊＊＊
檻越しにその人と見つめ合う。昨日の女の人はすっかり萎れていた。
目を泳がせたあと、その人は口を開く。
｢私を止めてくれてありがとう｣
それだけ言うと口を噤んだ。対するわたしはまさか感謝されるとは思ってなくて、言葉に詰まる。
面食らったまま数秒黙っていると、女の人は気まずそうに鱗を触った。落ち着かないみないで、その手は少し忙しそうだ。
何か言わないと、と思って、でも何も思いつかなくて。とりあえず、笑ってこう言った。
｢どういたしまして｣
安心したようにその人は微笑むから、少しだけ嬉しくなる。
それから、色々と話してくれた。なんでも、恋人に振られて悲しかったらしく……。とある人に唆されて気がついたら1人怪我をさせていた、と。そうしたら、止まらなくなって今に至る。
｢私ったら、どうしてあんな奴好きになったのかしら…あなたも、好きになる人は選ぶべきよ。可愛いんだから、不幸になっちゃダメなんだからね｣
｢は、はい｣
おしゃべり好きな性分なのか、それからは火がついたように話し出した。ここの人は詰まらないとか、これまでの恋愛話とか。
そうしていると、結構時間が経っていたみたいで…。
｢そろそろいいかな？イレイザーが怒りそうだ｣
｢あら、もう？嫌だわ、わたしったら……あなたを呼び出して愚痴ばかり聞かせてしまったわ｣
萎れる梶井さん__話の流れで自己紹介してもらった__は檻から手を伸ばした。
｢手で顔を覆った男よ。気をつけなさい｣
｢…それって｣
｢いい？あなただから言うのよ。さあ、行きなさい｣
最後に握手をすると、梶井さんは椅子に座って手を振る。正田さんは首を傾げていたけど、話が終わったと察すると、わたしを促した。
渋々歩みを進めて、先生がいるところまで戻る。
｢やっと終わったか。どうだった？｣
｢感謝されました。あと、世間話も｣
そんなことか、と呟いた先生。正田さんは車を出してくる、と言ってその場を離れる。
俯かせていた顔を上げて、先生にこう付け足した。
｢死柄木弔が一般人を唆しているみたいです。きな臭いですよ｣
｢厄介なことになるな｣
2人して顔を歪めた。
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怜(プロフ) - monsterさん» ありがとうございます！そんなふうに言ってもらえるなんて光栄です！！これからも頑張りますので、応援お願いします！！！！夜分遅くに失礼しました。 (2018年11月4日 23時) (
レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
monster - 深夜に、失礼します。今日、一気読みしました！それほどおもしろい作品です！これからも、更新、頑張ってください！応援してます！ (2018年11月4日 22時) (レス) id: 5382ffa71d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2018年10月16日 14時
