ひゃくななじゅうさん ページ28
あのあと、その敵は見つけられなくて。
｢仕方ない、今日は引き上げるか｣
｢はい。戻っておいで｣
手を広げて待ってると、すぐに小悪魔が集まってくる。そのまま影に溶け込むように消えていった。
ふう、と一息ついて先生を見上げると、険しい顔をしている。
｢どうしたんです？｣
｢もう少し付き合えるか？｣
｢大丈夫ですけど｣
ヒーローの勘ってやつなのかな？遠くを見据えた先生は静かにするように、と言って歩き始めた。
それについていくと、啜り泣くような声が聞こえる。路地裏の奥、女の人の声だ。
｢エニー、お前の小悪魔は映像を見せることも可能か？｣
｢モニターになるものがあれば、できます｣
今回の敵は女性ってこともあって、先生は警戒気味だ。それはもちろん、わたしもなんだけど。
一匹だけ小悪魔を召喚して飛ばした。先生は路地裏をじっと見つめている。壁をモニター代わりに小悪魔の視界を共有した。
小悪魔の手が映る真っ暗な映像。漸く奥に辿り着いたのか、女性のシルエットが見える。しゃがみ込んで泣いているようだけど、その腕は刃物に変形していた。
ふと、先生が言った特徴が蘇る。
『手や足を刃物に変形させて切りつけるらしい。既に何人も犠牲になっている』
その特徴に当てはまっていた。先生に指示を仰ぐために見上げる。すると、小声でこんなことを言われた。
｢1人でやってみろ｣
目を見開いたわたしにニヤリと笑いかける先生。ちょっと不安だけど、困った時は先生が助けてくれると思うし……。
こくり、と頷いて路地裏に踏み入れた。
わたしのコスチュームは私服にも見えるだろうし、ヒーローとは思えないから、警戒されずに済むよね。
｢あの、大丈夫ですか？こんなところでどうしたんですか？｣
｢っうぅ……｣
嗚咽を零したまま、微動だにしないその人。
肩に手を置こうとした途端、腕を振り抜いてきた。バックステップで避けると、鬼の形相をした女性が威嚇する。
｢あの人じゃないッ！！あの人はどこ！！｣
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怜(プロフ) - monsterさん» ありがとうございます！そんなふうに言ってもらえるなんて光栄です！！これからも頑張りますので、応援お願いします！！！！夜分遅くに失礼しました。 (2018年11月4日 23時) (
レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
monster - 深夜に、失礼します。今日、一気読みしました！それほどおもしろい作品です！これからも、更新、頑張ってください！応援してます！ (2018年11月4日 22時) (レス) id: 5382ffa71d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2018年10月16日 14時
