＊＊＊ ページ5
「しねえのか？」
揶揄うようにリボーンが笑った。狼狽えたまま、頭はぐるぐると回る。
「い、今の法律ではできないでしょ」
吃りながらも出た言葉はただの事実。そう、事実だ。僕は恭弥と結婚できない。ちくんと痛む胸に口が震えそうになる。たぶん僕は……。
こんなところで自覚するなんて最悪だ。
「つまり結婚したいんだな？」
心を読んだかのようにリボーンが言う。
「う、うるさいな！！もう！」
「これでAもファミリーだな」
「ファミリーにはならないって！！」
ぎゃうっと吠えるように喚いていると、応接室のドアが開く。少し傷を負った恭弥が僕とリボーンを見た。
「ヒバリ、良いところに来たな」
「なに？」
「いい！言わなくていいってば！」
リボーンの口を塞ごうと飛びかかるけど、軽々と躱されて。そのまま恭弥の肩に降りたリボーンがごにょごにょと耳打ちをしていた。
あー、もう……最悪だ……。
のろのろとソファーに蹲る。ちゃお〜と軽い言葉が聞こえてきて、リボーンの気配が遠くなった。僅かに軋んだソファー。
僕の隣が沈んで、優しく頭を撫でられる。目を合わせるのも恥ずかしくて、顔を上げられない。
「A、顔をあげて」
「今はやだ」
「どうして？」
わかってるくせに。首を振るだけで蹲ったままの僕を、恭弥は器用に抱え上げて膝に乗せる。恭弥の胸にしがみついて俯いていると、頬を擽られた。そっと恭弥を見ると、目を細めて楽しそう。
「随分と気が早いね。結婚なんて」
「……リボーンが勝手に言ってるだけだもん」
「ふうん。君はしたくないの？」
「そういうわけじゃ……」
もごもごと口篭っていると、恭弥に手を取られた。そのまま恋人繋ぎをされて、ちゅっとこめかみにキスされる。学校ではキスしないって言ってたのに。
「僕はするつもりでいるから」
ぎゅうと手に力が込められる。どきどきと心臓が鳴って、耳が熱を持った。恭弥が言うと本当にできそうな気がするから不思議だ。
どうやって、なんて聞くのは野暮な気がして、何も言わずに頬を寄せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
