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ふむ、と頷いて恭弥を呼ぶ。少し目を細めて小首を傾げた恭弥の首に腕を回した。ちゅむっと口をくっつければ、目元が和らぐ。どうしたのって優しい声にもう1回。
「恭弥がパーティーで嫌な思いをしないようにおまじないしてるんだよ」
「キスがおまじない？……まあ、でも、悪い気はしないね」
「でしょ？」
額を合わせてにひっと笑う。もう1回と強請られて顔を近付けたとき、扉をノックされて返答する時間もなく、無遠慮に扉が開いた。
視線だけ移せば、案内してくれた黒服がドアノブに手をかけたまま固まっている。
「っ、失礼しました」
数秒見つめ合っていると、我に返ったのか、黒服は慌てて扉を閉めた。恭弥に目を戻してどうする、と問いかけてみる。
恭弥は肩を竦めて優しくリップ音を立ててから、何事もなかったかのように僕に手を差し出した。
「早く終わらせよう」
「んふ、そーだね」
差し出された手を取って恭弥の隣を歩く。扉を開ければ、すぐそばで控えていた黒服が頭を下げて待っていた。鼻を鳴らした恭弥が案内するように言いつけると、黒服は黙って先導するように歩き出す。
そういえば、沢田綱吉たちはどこにいるんだろうね？リボーンは10代目ファミリーは強制参加って言ってたし、来ているとは思うんだけど。恭弥もそのファミリーの一員なんだし、入場くらいは一緒にするんじゃないかな？
取り留めのないことを考えながら黒服の後ろを大人しくついていくと、人の声が聞こえ始める。聞き覚えのある声に目を細めると、恭弥も気付いたらしく、表情が険しくなっていた。あからさまに嫌そうにするものだから少し笑ってしまって、恭弥がとんと肩をぶつけてくる。
僕たちに前を促した黒服はその場で止まってまた頭を下げた。行こっかって恭弥の手を引いて、沢田綱吉たちの元へと歩き出す。
「ヒバリもAも来たな」
リボーンがこちらを見て頷いた。遅れて登場した僕らを見て獄寺隼人が鼻を鳴らして、沢田綱吉たちがまあまあと宥めているのを他人事のように眺める。それが落ち着けば黒服2人が扉を開けて、10代目ファミリーだと紹介されながら中へと入らされた。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
