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手がゆるく首に添えられる。すごく怒ってる……！どうしよう、そんなつもりはなかったんだけど。ヴァリアーだって一つの例として挙げただけだし、本当に就職するわけじゃないのに。
「違くてね！？ヴァリアーだって困ったら雇ってやるって言われてたから、選択肢の一つとしてはありかなって、」
「へえ。そんなことを言われてたんだ」
少し手に力がこもった。間違えたんだって気付いて、さらに焦る。死ぬことはないけど、痛いのも苦しいのも嫌いなんだって！
「えと、本当に就職する気はないよ？ただ、その、僕って普通の職にはつけないと思うし、」
「なんで働く必要があるの」
「え、だって、無職って嫌じゃない？」
「嫌じゃないけど」
きょとんと目を瞬かせる。なんか微妙に話が噛み合ってない気がする……。考え込んでいる僕に気付いたのか、恭弥は首から手を離した。
ただ僕の上からは退いてくれなくて、落ち着かない。
「んーと、恭弥は僕が働くのいや？」
「うん。僕から離れそうだから」
「そんなに心変わりしそうに見える？」
そう言えば、恭弥は口を結んだ。恭弥の首に腕を回して引き寄せる。恭弥は抵抗もせず僕に覆い被さった。そのまま抱きしめて背中をぽんぽんと軽く叩く。
「離れないよ。約束したじゃん」
「……うん」
まだ不安なんだろうな。どうしたら恭弥は安心してくれるんだろう？大好きって伝わってないみたいで寂しいんだけど。
「進学も就職もしなくていい。ただ僕の隣にいてくれさえすれば」
「そ、ういうわけにはいかないよ。恭弥の負担になりたくないもん」
「僕の負担を考えるなら、何より離れないことだよ」
そうなのかな？……恭弥が言うならそうなのかも。でも、進学もしないのはちょっと……というか、結構おかしい気がする。
その、結婚するなら、中卒の人とかもらいたくないと思うし。できれば、高卒の学歴はほしいよね。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
