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にひっと笑ってみせると、恭弥は頷いて図面をじっと見つめる。冗談まじりに言ってみたんだけど、そんなに真剣に考えるとは思わなかったな。
そのうち首輪とかつけられちゃうかな。……想像できちゃうね。
「まあ、でも、居心地良かったよ」
「具体的には？」
「へっ？んー、和室とか好きだし。地下だから外の空気を吸えないのはちょっと嫌だけど、暮らすのに不便はなかったから」
アジトの話はそれくらいかなぁと呟いて、恭弥の様子を窺うとまだ足りないみたい。どうするかなぁと思いつつ、やっぱり恭弥の話しかないわけで。未来の並中のことも考えたけど、恭弥も知ってるし。
「じゃあ、大人の恭弥のことでいい？」
「……まあ、いいよ」
少し空いた間が気になるけど、さすがにやきもちしないはずだと思い直して、未来の恭弥を思い出す。
「えっとねー、まず身長が高かった」
「へえ」
「僕より10センチくらい高いよ。恭弥、まだ成長するんだって」
ちゅーしづらいかなぁとぼやけば、頬にキスされた。それでいい気分になって、饒舌に話し出す。
すごく優しかったんだよ、今の恭弥も優しいけど。未来の僕のこと、すごく大切にしてくれてるんだってわかって、嬉しかったなぁ。
そうそう、2人で写った写真も飾ってあってね。それを見てやっと手に入ったときのって嬉しそうだったから、ほんとはちょっとだけドキドキしたんだ。そのときはエンティティさまに叱れられるって思ってたから、断ったんだけど。
あとね、大人の余裕？っていうのかな。駄々捏ねても受け流されちゃうんだもん。ちょっとムッとしちゃったけど、今思えばかっこいいなって。僕もあんなふうになりたい。
ニコニコしながら話して、やっぱり大好きだなぁって実感する。そんな人と今一緒にいられるのはすごく幸福なことなんだろうな。
「10年後の恭弥、僕の考えてること全部分かっちゃうんだよ。何にも言ってないのに、」
「……そんなに10年後の僕が好きなの」
「え？……違うよ」
むすくれた恭弥に向き直って、にっこりと笑う。それでも恭弥は不満そうだった。恥ずかしいのを堪えて軽くキスをする。
「僕と歩んでくれる、今の恭弥が好き」
「そう」
頬を緩めて恭弥が唇を寄せる。やきもちやきだなぁと思いつつも応えるように首に腕を回した。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
