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黒曜について早々飛び込んでくるりんご帽子。しっかりと受け止めてあげると、ぐりぐりと頭を押し付けてきた。
りんご帽子は幻覚だって分かっているけど、視覚的に違和感があるよね。
そっと頭に手を伸ばすと、りんごの帽子を透過して柔らかな髪が指先に触れた。
「Aさん、聞いてくださーい」
「なに？」
「師匠がミーをいじめるんですー」
そうなの、と六道骸を見れば、肩を竦められる。聞いても無駄だね。
しがみついてくるフランをそのままに何か用かと聞けば、宥められて座るように促された。そんなにゆっくりするつもりもなかったから、少し眉を顰める。
「恭弥に怒られるんだけど」
「少しくらいは良いでしょう」
「良くないから言ってるって分からない？」
僕のお腹から顔を上げたフランがむすくれて、手をグイグイと引っ張ってきた。好きにさせていると、ソファーに座らされてフランが膝によじ登る。
「ミーの特等席ですー」
「おチビもこう言っていますが」
「……少しだけだからね」
とはいえ、何をするわけでもない。どうするかな。フランの頬を引っ張りながら考えていると、ぺちぺちと軽く手を叩かれた。
気にせず遊んでいると、ぷく〜っと頬が膨らむ。
「ねえ、ひまなんだけど」
「では、手合わせでも？」
「……君、物分かりがいいね」
フランを膝から下ろして立ち上がった。早くやろうと声をかけてナイフを取り出す。ブーイングをしているフランに見ていなよと笑いかけて、六道骸を見据えた。
「相変わらずのようですね」
「君に言われたくない」
「クフフ、」
三叉の槍を構えた六道骸が笑う。帰ったら恭弥に謝らなきゃ。僕だけ楽しんじゃってごめんねって。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
