【REBORN!】エンティティさまが僕を消すまで -8-【DBD】 (ページ10)

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前方に光が差す。開けた視界にひび割れた地面が見えた。物珍しそうに孤島を眺めるヒバリさん。繋いでいた手を離して、開放感に伸びをした。
未来に行ったときに入った以来かな。ここは馴染みがいいから、好きだよ。

「ようこそ、僕の世界へ」

「君の世界？」

「エンティティさまが特別に充てがってくれた世界です。ここには現世の柵(しがらみ)も、面倒な法律もない。切り離された、僕だけの世界なんです」

ふわりと笑ってみせて、ヒバリさんを振り返る。黒い霧が足元から立ち上った。白く輝く月が三日月から満月へと満ちていく。

「まるで部屋を割り当てるかのように世界を渡すんだね」

「エンティティさまにはそれができるんですよ」

「ふぅん、そう」

孤島の中央から地平線を見やる。崖のように見えるこの島の最果て、そのさらに奥には何もない。ただ奈落が待っているだけ。
奈落に何があるかは知らない。もしかしたら、僕が殺した人が積み上げられているのかもしれないけど。微塵も興味はなかった。

「やるなら早くしましょう。ここには時間の概念がないんです。外で何時間経っているかも分かりませんから」

「そう」

トンファーを構えたヒバリさん。いつも通りドクターの棍棒を借りて、同じように構える。綺麗な炎が灯って、ロールが飛び出た。突き刺す殺気がいつもより濃度が高い。本気で殺しにきてるんだ。

それなら、僕も応えるべきじゃないの？いやいや、そんなことをしたら一瞬で終わっちゃう。ほどほどに、楽しくしないと。

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side：NO

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交差する得物が甲高い音を立てる。Aは口元に笑みを浮かべて、ヒバリは真剣な表情で、己の武器を振るっていた。ヒバリの匣兵器であるロールが空気中の塵を元に増殖していくと、何もなかった戦場には針が突き出た無機物で溢れていく。

行動を制限されながらもAの優位は揺るがなかった。不規則に、無尽蔵に増えていく障害物を易々と躱し、ヒバリからの攻撃を防ぐ。周りへの配慮をしなくていいため、いつもよりも伸び伸びと戦っていた。
軽々しく棍棒を振り回すAとは対照的に、ヒバリは奥歯を噛み締めている。Aから滲み出る余裕に煽られて、無意識に歯軋りをしてしまうのだ。