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そういえば、場所はどうしようか。本気でいくと言うのなら、壊れても問題ない場所がいいよね。とすれば、DBDの世界に行った方が良さそうなんだけど……。
正直なところ、この世界の人を連れていっても大丈夫って保証がないんだ。霧の道は僕と手を繋いでいるという条件下で安全を保っているわけで……。
戦いってなると、ずっと手を繋いでいるわけにもいかないし。
「場所の心当たりはあるって顔してるけど」
「あったとしても連れていけません」
「どうして？」
心底楽しそうな顔をして、ヒバリさんは意地悪くそう言う。この状況が何よりも楽しくて仕方ないって顔だ。あまりにも場違いだよ。
だって、自分の死すら楽しんでるってことになるんだから。僕はそうあってほしくないのに。
「死んだらそこまでだよ」
「……後悔しても知りませんよ」
「後悔なんかしないさ」
渋々霧の道を作る。ヒバリさんを見れば、ニンマリと笑っていた。
ああ、もう。諦念が胸をついて、どうしようもない。それなのに、僕も少しだけ楽しくなってくる。もしかしたら、いつもよりももっと楽しいかもしれない。
パワーアップしたリングがどれだけ使えるのか、見てみたいなんて思ってしまう。
霧に踏み込む前にヒバリさんに手を差し出す。躊躇いもなく手を握られて、ため息をついてしまった。
「ステージの要望はありますか？」
「何もないところ」
「それなら、僕のがいいかな」
霧の中を歩きながら、行き先をあの場所に設定する。あの場所は僕だけのステージだ。僕のために誂えられた戦場だ。
ぽっかりと宙に浮かんだ孤島。青空だけが近くて、月が照らす地平線には何もない。どこか甘い匂いが漂うあの場所は、誰の干渉も受けない。
エンティティさまでさえも、あの場所には来ない。加護は届くけどね、エンティティさまがあそこで姿を現すことはない。
歩みを進めるたびに現世が遠くなっていくのが分かる。それをヒバリさんは分かっているんだろうか。いや、分からないだろうね。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年2月20日 23時
