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ハントレスの子守唄がこっちの世界にあるとは思えない。だって、向こうの世界にもなかったからね。確かに曲調はそれらしいのかもしれないけど、鼻歌で判断できるほどとは思えないんだよねぇ。ヒバリさんが鋭いってことかな。
あ、そうだ。思い出した。ヒバリさんに聞きたいことがあるんだった。
「ヒバリさん、僕の記憶がなくなる前に何か言いました？」
「……何かって？」
「んーと、覚悟……？とか。そんな言葉を聞いたような気がして……」
ヒバリさんが目を見開く。思い出したの、と聞かれて首を振った。思い出してないけど、フラッシュバックするようなあの記憶がある。言葉に迷いつつも、口を開いた。
「大事なことだったような気がするんです。忘れちゃいけない、ような……でも、思い出したくもないような気がして……」
「それなら、忘れたままの方がいいんじゃない？」
「でも、このままだといけないって思っちゃうんですよ」
未来に行ったとき、ヒバリさんは教えないって言ってたけど。これくらいなら教えてくれると思うんだ。
「確かに言ったけど、内容までは教えられないな」
「え〜っ！なんでですか〜！」
「ひみつ」
薄く笑みを浮かべるヒバリさん。ずるいずるいと喚いてみてもヒバリさんは教えてくれない。むぅと口を尖らせた。
そんな会話をしていると、前方から話し声が聞こえてくる。沢田綱吉たちの声だ。ヒバリさんも気付いたのか、前方に目を向けた。ピリッと張り詰めていく空気を感じて少し目を細める。
ヒバリさんが敵意を持つと、空気が冷えていくような気がして、戦闘欲を掻き立てられるのがいつものことなんだよね。
「お気をつけて、10代目！！」
「ありがとう！」
「何言ってんの？あの小動物は僕のエモノだよ」
「ヒ！！ヒバリさん！！」
小さくため息をついたヒバリさん。少し逡巡して視線を沢田綱吉に向ける。
「まあ、だけど、君が殺されるの待っててあげるよ。その後で僕が咬み殺す」
「んな──！？オレ……殺されるの前提ですか？」
「ヒバリてめー！！ナメたこと言ってんじゃねーぞ！！」
「まあまあ獄寺、落ち着けって」
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作者名：怜
| 作成日時：2023年2月20日 23時
