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チェルベッロが3秒以内に従うように言う。静かにカウントダウンが始まった。戸惑うツナに、ラル・ミルチが構うなと叫ぶ。
そのカウントダウンが残り1秒となったところで、銃声が響いた。チェルベッロの体が地面に倒れ込む。入江が持っている銃から硝煙が上がっていた。
「悪く思わないでくれ。少し眠ってもらうだけだ……」
動揺するツナたちをよそに、入江は衣服をくつろげていく。立っていられなくなったのか、その場にへたり込んで入江は信じられないことを言った。
「よくここまで来たね。君達を待ってたんだ……僕は君達の味方だよ」
「オレ達の味方だって！？」
「う……うん、そうなんだ……」
気まずそうに目を逸らす入江。
「この基地でのこの状況での出会い方こそが僕らの設定したゴールだったんだから」
そのタイミングでAが目を覚ました。身動ぐAにいち早く気付いたヒバリが入江の話に耳を傾けずその体を支えるも、Aは気にせず体を起こす。体の前でまとめられている腕を一瞥し、皮膚が抉れるのも意に介さず無理やり解いていくのは痛々しく、腕を動かすたびにぐちゅぐちゅと血が溢れ出していた。
棘が皮膚を抉ろうとも片腕を引き抜き、手首に空いた穴が広がっていく。即座に傷を覆い隠す霧が癒していくのが当然だと言わんばかりの所作だった。自由になった腕で有刺鉄線を取り除く。
ヒバリを見ることもなく行われるのが癪に触ったのだろう、ヒバリはAの腕を掴むもすぐに振り払われた。まだ血が滴る拳で、Aが装置の壁を殴る。全体にヒビが走り、次に指で突けばガラスは崩れ落ちた。
殺そうと思えば殺せたと叫ぶ入江が話しているのを聞きながら、Aは首を捻る。この計画がツナの意志でもあったと入江の言葉を聞いて、少しばかり待つことにしたらしく、Aは静かに話を聞いていた。
「この計画は絶対にバレないように僕と10年後の君と10年後の雲雀恭弥、10年後のAの4人だけの秘密だったんだ」
「ねぇ、そういうのどうでもいいよ」
「A！？なんで！？」
「僕のこれは10年後の僕がエンティティさまにお願いしてやったことなんだね？じゃないと説明がつかない」
「そ、そうだ。君の動きを止めるにはエンティティの力を借りるしかない。現に君は既に炎が効かない体質だ。その成長の早さには目を見張るものがあるけど、計画に狂いが出てしまうから……」
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
