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次はどうするんですか、とヒバリさんを見上げる。ヒバリさんは少し視線を上にやって、それから僕と目を合わせると、敵アジトに乗り込むのだと言った。
襲撃作戦に便乗するってこと？それならシミュレーションに組み込んでも良かったんじゃないの？
まあ、いっか。気にする必要はないもんね。僕がやるべきことが変わるわけじゃないし。
行きましょうか、と大広間から出る。急ぐ様子もないヒバリさんが不思議で首を傾げた。
「Aのおかげで余裕ができてね。少しゆっくりしたところで支障はないさ」
「僕、まだ何も言ってないですけど……」
「君の考えていることくらい分かるよ。何年一緒にいると思っているの」
あ、そっか。そういうことか。なるほどと頷く。十数年一緒にいるから、僕の考え事だってお見通しなわけか。
え、ずるくないかな？僕があれこれ策を張り巡らせてもこの人には筒抜けってことでしょ？それを10年前のヒバリさんに共有でもされたら、僕は逃げられなくなるんじゃ……？
「そんなことはしないさ」
「え？」
「それくらい自分で対処できない奴にAの隣は務まらない。そんな奴に君の隣はくれてやらないよ。たとえ10年前の僕であっても」
「……ストイックだって笑えばいいですか、これ」
どんな表情をすればいいか分からなくて、思わず遠くを見る。ヒバリさんって本当分からないな。いや、この場合喜んでいいんだよね。
だって、離れられる可能性が高くなったんだから。勝算は少しでも高い方がいい。
「それに、もう十分味方をしてやったからね。あとは10年前の僕次第さ」
その言葉に苦々しく顔を歪める。そうだった。この人は僕の防御壁を粉々にしてくれたんだったね。もちろん嫌味だよ。
首を振って暗い思考を取り払う。アジトから外へ出れば、陽の光が眩しくて目を細めた。久しぶりに日光を浴びた気がするね。今までアジトにこもってたから、外の空気なんて新鮮だ。
でも、僕は夜の方が落ち着くな。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
