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向こう側のアジト、その居住区を目指してエレベーターに乗る。その間もネコは壁という壁を引っ掻き回していた。
エレベーターを出てからも壁を引っ掻いているから、テンションが上がっているんだろうなと若干微笑ましくなる。そのガリガリという音に釣られたのか、沢田綱吉たちが部屋から出てきていた。
「酔っぱらってAの所まで来たよ」
「ヒバリさんとAさん！？獄寺君の猫ー！？」
「ああっ！！てっきり匣に戻ってっかと！」
ヒバリさんがネコから手を離す。すると、ネコは真っ先に獄寺隼人の顔面に飛びついて爪を立てていた。あれ、獄寺隼人の匣兵器だったんだね。でも、なんだか懐かれてないみたいだし。
「君達……風紀を乱すとどうなるか知ってる？」
「トンファーまで持ってきてたんですか……」
「僕の睡眠を妨害したんだから、当然さ」
どちらかと言えば、ヒバリさんの睡眠を妨害したのは僕だけど……。ヒバリさんを起こさない方が良かったかな？いやでも、僕も睡眠を邪魔されたことに変わりないし。
そう思っていると、ヒバリさんは欠伸をしてトンファーを収めた。
「……眠い……今度ね」
「ま……待てヒバリ！！あ……あんがとな……いずれ、この借りは返す……ぜ」
「期待せずに待つよ、獄寺隼人」
行くよ、と声をかけられて頷く。歩き出したところで後ろから声をかけられた。
「明日……一緒にがんばりましょうね」
「いやだ。僕は死んでも君達と群れたり、一緒に戦ったりするつもりはない。強いからね」
沢田綱吉から期待するような眼差しを向けられて首を傾げる。一緒に頑張るって言われてもねぇ。
「一緒に頑張ることってある？」
「んなっ！？」
君たちは死なないように頑張らなきゃいけないかもしれないけど、僕はそんなことないし。襲撃作戦だってヒバリさんは僕を組み込むような口振りをしていなかった。
僕は今回別の用事があるみたいだから、一緒にって言われても困るね。まあ、いいや。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
