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ボンゴレ側のアジトに入って早々、漂う血のにおい。ヒバリさんを見上げれば、無表情のまま医務室の方へ足を向けた。大人しくついていって、ヒバリさんに続いて医務室に入る。

その中には沢田綱吉たちもいて、クロームを心配そうに見ていた。同じようにクロームを見れば、血を吐きながら横たわっている。そのお腹は陥没していて、瞬時に状況を把握できた。
六道骸の幻覚で補われている内臓がなくなってるんだ。このままだとクロームは死んでしまうだろう。それはさておき、クロームがこうなってるってことは六道骸に何かあったとしか思えないね。

ヒバリさんは沢田綱吉を押し退けてクロームの後頭部を支える。


「死んでもらっては困る」


草壁さんに促されて沢田綱吉たちは医務室を出ていった。僕も出ようと背を向けたとき、クロームが小さな声で僕を呼ぶ。


「……A、」

「……どうしたの」

「む、くろ、さまが……」


光がない瞳が僕に向けられる。ベッドまで歩み寄れば、微かに口を動かしていた。伝えたいことはあるんだろうけど、今の彼女には難しいはず。
優しく髪を撫でてやると、少しばかり表情が和らいだ。


「Aも出てくれる?」

「……はい、クロームをお願いします」

「分かってるさ」


医務室を出て壁に背をつける。ぼんやりと宙を眺めながら、ヒバリさんが出てくるのを待った。

10分もかからず出てきたヒバリさんは草壁さんに問題ないと伝えたあと、僕に向かってくる。その表情はどことなく不機嫌そうで、心当たりのない僕は首を傾げた。大きな手が頬を覆う。


「随分とあの子を気にかけているんだね」

「六道骸との取引なので、当然ですよ」

「……そう。君は昔からそうだったね」


不機嫌そうな雰囲気が一瞬で霧散して、頰から頭に移動した手がくしゃくしゃと髪を掻き撫でた。行こうと腕を引かれて歩き出す。
どこになんて聞かなくてもいっか。だって、聞いたところで行かないっていう選択肢はないんだし。流されるままでいよう。


随分とゆっくり歩くヒバリさんが訪れたのは主作戦室で。草壁さんからクロームが持ち直したことが伝えられたのか、5日後の作戦について話し合っていた。


「心配するな。クロームの不足分はオレが補う」

「そんなこと任せられるわけねーだろ。お前、今座ってんのもしんどそうじゃねーか」

「何を言っている!!」

「無理すんな。顔を見れば、お前の体調ぐらいわかる」

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作者名: | 作成日時:2022年10月24日 23時

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