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「A、行くよ」
「僕もですか？」
「当たり前だろ」
確かにヒバリさんと一緒に行動することは多いけどね。今後のことを考えれば、あんまり一緒にいたくないというか……。う〜ん、ヒバリさんを説得するのも面倒だし、ひとまずついていこうか。
分かりましたと頷いた。着替えてくるからと席を外すヒバリさん。
さて、どうやってヒバリさんから離れようか？まず過去に戻らないと話にならないけどね。あのヒバリさんを欺くのは相当苦労しそうだから、なるべく方法は多いに越したことはない。
単純に海外に行ってみるのもアリかとは思ったけど、行く当てがない上に、沢田綱吉に力を貸すっていうエンティティさまからの命令を果たせなくなる。だから、並盛近辺にいながら、ヒバリさんから姿を隠す方法が必要なんだ。とりあえず風紀委員会からは脱会しなきゃね。
ああ、でもそれは一番最後に回した方がいいかも。その時点で僕が離れるっていうことに気付かれる可能性は高いから。
「Aさん、できれば恭さんから逃げないであげてください」
「……草壁さんまでそういうこと言うんですね」
「お節介だと思われるかもしれませんが、恭さんにはAさんが必要なんです」
理解し難いなと思った。だって、ヒバリさんは僕がいなくても生きていけるから。
そんな思いが顔に出ていたのか、草壁さんは苦笑する。変なのって表情を和らげて、開いた襖に目を向けた。スーツに着替えたヒバリさんは草壁さんを一度鋭く睨むと、僕を急かす。
いそいそと立ち上がってヒバリさんの隣に並ぶと、満足そうに表情を緩めていた。腕を持ち上げたヒバリさんが人差し指で僕の頬をくすぐる。それがまるで小動物を愛でるような仕草に感じられて、素直に目を細めた。
「行かないんですか？」
少しばかり思案したヒバリさんは手を下ろす。それをちょっとだけ残念に思ったけど、口には出さず、歩いていくヒバリさんのあとを追った。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
