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それまでは自由に過ごしていいわけだ。ただ戦いに参加しようとすれば、守護者に会うことになって、そっちの味方をするハメになる。なるほど、面倒だな。
どっちにも加担せずに参加することはできない。遊ぶとしてもどちらか片方を選ばないといけない。なら、より楽しむためには……。
「では守護者の皆様、並びにA様はリストバンドを装着し次第、各守護者戦が行われたフィールドに移動してください」
「ぬ?フィールドだと?今更どういうことだ?」
「質問は受け付けません。従わなければ失格となります」
「僕はグラウンドでいいの?ヒバリさんと接触しちゃうことになっちゃうけど」
「はい。A様は自らフィールドに出ることは叶いませんので」
言ってくれるじゃん。そこに何が仕掛けてあろうと、僕を止めることはできないと思うけどな。まあ、でもせっかく戦いに参加できるようにしてくれたんだ。ここは大人しく従ってあげようか。
「ではやるなら今しかないか……」
「え?」
「円陣だな」
「気合いいれましょう!」
「そ……そうだね」
じりじりと後退りをすれば、笹川了平はそこにいればいいと言う。10メートルルールだって。10メートル以内の人は円陣に入ったとみなすんだってさ。変なの。組まなくてもいいならいっか、と思っていればヒバリさんが少し後ずさる。
くすくすと笑っていると、ヒバリさんに睨まれた。それを気にせず、円陣が終わったのを見届ける。
「行くよ。途中までは一緒なんだろ」
「そうですね。ヒバリさんも僕もグラウンドですから」
「それで、僕は君を迎えにいけばいいの?」
「んーと、そういうわけじゃなくて……僕は最初に会った守護者の味方をしなきゃいけないみたいなので。ヒバリさんが来てくれるなら、ヒバリさんの味方をするってだけです」
「迎えにいけばいいんだね」
話通じてるかな、これ。敵になったときでも来そうだよ、この人。大丈夫かなぁ?そう思いながらヒバリさんの横顔を盗み見れば、僕が味方になると信じて疑ってないみたいだ。
うーん、まあ、ヒバリさんが一番近いから。たぶんそうなるんじゃないかな。だから、気にしない方向でいこう。
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作者名:怜 | 作成日時:2022年10月11日 19時