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リボーンは改めてAを見る。こちらを一瞥することもなく頷いたAの、その心情を全く読めないことが残念だった。何を考えているのか読み取れず、どこまで踏み込むべきかと考え込む。そうして思い出すのは昨晩のことだった。
いつも通りへらへらと笑っていたAはある言葉を聞いた途端、凄まじい形相を見せ、獣のようにチェルベッロに掴みかかった。張り上げずともよく通る声を吠えさせて、全身で不快感を露わにするA。
己が銃を抜かなければ、そのままチェルベッロを殺していただろうと予感させる気迫は、一般人とは言い難かった。元より人離れした雰囲気が一層そう思わせたのかもしれない。洗練された動きを普段から見せていたが、それよりもさらに上があったのだと、リボーンは畏怖という感情がまだ残っていたことにそのとき初めて気付いた。
その後落ち着いたAが手紙を受け取ってまた様子が変化したのが、リボーンの混乱を招く。泣いて母親に縋る子どものような甘えを、それでいて犬のような従順さを併せもち、愚者と詰る姿は虫ケラを見るような冷酷な瞳だった。
そして、最後に魅せたあの誇り高き姿は狼のように美しい。
『我が神、エンティティさまの命令の下、偽者に罰を、死を与えることを誓いましょう』
芯のある強い声。死を与えるというネガティブな言葉ですら、一種の救済かのように思わせられたのだ。
あの気高くも苛烈な姿は脳裏に焼き付いて離れない。そしてそのトリガーがエンティティだということが、少しばかり惜しく感じる。
心の底から一喜一憂し、心酔し、全ての情を傾ける相手が、エンティティなのだ。Aの全てを握って離さないというのだ。自分のせいで取り乱し、自分のおかげで幸せを感じる。人格の根本から覆すような命令も容易く呑む従順さを思いのまま操れるのなら。それはどれほど面白いことだろう。
なるほど悪趣味だな、とリボーンは頷く。誰に言うわけでもなく、胸の内だけでそいつの顔が見てみたいものだと、できることなら殺してやりたいなどと吐き捨てた。
「リボーンって」
「ん？」
「怒ってるとき分かりやすいね」
ちらりとこちらを見たAが困ったように笑っている。
「オレはいつだってわかりやすい男だぞ」
「嘘つきだねぇ」
ケラケラと笑うA。その笑顔だけを切り取れば、普通の中学生のようだった。
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怜(プロフ) - リィさん» ありがとうございます！！面白いと言っていただけるとやる気が出ます！まだストックは尽きていないので、今後も早めに更新できると思います。お楽しみに〜！ (2022年10月7日 0時) (
レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - あ"ぁ"っ…！楽しみすぎてつらい…！！なんでこんな面白い話を作れるのか疑問です…更新頑張ってください！！ (2022年10月5日 13時) (レス) @page32 id: 1730b53d16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月1日 3時
