*** ページ20
突風に身を任せたナイフは獄寺隼人の頬を切り裂いた。本当に?本当にそうなの?あのとき間近で見たナイフ。その形状を思い出して首を傾げる。
無駄にカーブしている形、持ち手には穴が空いていたり、余計な突起があったりしていて、たとえ気流を読めたとしても無駄な部分が多すぎてうまく乗らないんじゃないかと思うんだ。
直接行って確認したいけど、レーザーがあるんだよね。さすがの僕も細切れにされたら、しばらくは治らないと思うし。何より、体の再構築が必要になってエンティティさまの手を煩わせてしまうのは嫌だから。
今回は我慢しよう。
そこまで考えて、どこか引っかかることに気付く。どこで引っかかる?……ナイフの形状か!無駄な部分が多いって思ったけど、本当に無駄なのかな。
暗殺部隊なんだから、武器にもそれなりの工夫をしているはず。
晴れ戦のときだって、ルッスーリアは膝に鋼を埋め込んでいた。それは自分の技を活かすため。だったら、ベルフェゴールだって工夫しているはず。カーブしている形、持ち手の穴、突起。どれだ。どれがその工夫に当たる?
怪しいのは突起かな。何かを引っ掛けるような形をしていた気がする。ああ、もう少し観察しておくんだったな。
引っ掛ける……。紐……?紐状の何か……。ワイヤー?そういえば、勝負開始前に獄寺隼人の肩を叩いていたよね。そのときにワイヤーをつけておいたとしたら、ワイヤーにナイフの突起を引っ掛けて、標的に飛ばすことができる。それだけじゃない。ワイヤーが鋭かったら?それだけで人は切れる。
持ち手の穴にワイヤーを括りつけて投げたら、敵の経路だって操れて、追い詰めるのに最適だ。なるほど、ベルフェゴールはワイヤーとナイフの両刀使いなんだね。
謎が解けて、なんだこんなものかと笑う。ネタさえ分かっていれば、何ともない。
『怒涛の攻めのシメは針千本のサボテンにしてやるよ』
モニターから流れている音声で顔を上げた。吹き荒れる風に乗って、ナイフが飛んでいく。ドスドスと突き刺さる音で沢田綱吉が悲鳴を上げた。窓が割れてカメラに映り込んできたのはナイフが突き刺さった人体模型だった。獄寺隼人も分かったみたいだね。
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - リィさん» ありがとうございます!!面白いと言っていただけるとやる気が出ます!まだストックは尽きていないので、今後も早めに更新できると思います。お楽しみに〜! (2022年10月7日 0時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - あ"ぁ"っ…!楽しみすぎてつらい…!!なんでこんな面白い話を作れるのか疑問です…更新頑張ってください!! (2022年10月5日 13時) (レス) @page32 id: 1730b53d16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:怜 | 作成日時:2022年10月1日 3時