魔力よりタバコをくれ十六本目【ツイステ】 (ページ13)

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「そうですね……。僕は常々、考えていたことがあります。オクタヴィネル寮とは全く別の環境に身を投じてみたいと……」

「別の環境ってなるとどこの寮でも当てはまりません？海中にある時点でオクタヴィネルって特殊だし」

「ええ。どの寮でも多くの学びを得られるはず。ただ、サバナクローへの転寮は避けたいですね」

「あ〜〜……サバナクロー寮っていかにも体育会系のノリだし、運動得意なヤツが多いですもんね」

運動能力の話はしていないとアズールが眉を顰める。それに、と付け加えたアズールが俺に擦り寄った。

「Aはサバナクローが大嫌いなので、会いにきてくれなくなります」

「あー、はいはい。で、アズール先輩が行きたい寮って？」

「……まあいいでしょう。転寮するなら、『スカラビア寮』を選びます」

前々から熱砂の国に興味があったというアズールは形のいい眉を得意げに釣り上げる。この表情してる時って大体商売絡みだよな。
海とは違う環境、文化に興味があるなんて言ってるけど、なんとなくそう思って口を噤む。何も俺が口を出すことじゃないし。

ジャミルの料理が美味しかったと思い出して口の端を上げるエース・トラッポラ。まあ、ジャミルの料理は美味しいよな。でも、俺はフロイドが作ってくれる料理の方が好き。

そういえば、フロイドとジェイド、何してるんだろ？そう思って会場を見渡せば、寮生を巻き添えにして楽しんでいるみたいだった。不意にこちらを見たジェイドがフロイドをつつく。2人して俺を見ると、ニコニコと笑っていた。
楽しんでるみたいだし、大丈夫かな。

「でも理由が妙に小綺麗なんだよなあ……もしかして裏でなんか計画があったりして？」

「嫌ですね、そんなことありませんよ。……と言いたいところですが。“幸運”を運んでくれるであろうプレゼンターのエースさんには、特別にお教えしましょうか」

そんな声が聞こえてアズールに視線を戻す。珊瑚の海では珍しい茶葉やスパイス、絹織物は宝の山だと言って、パイプを持っておけば役に立つだろうと悪い顔をしていた。対するエース・トラッポラも楽しそうな顔をしている。

それから質問は終わって、幸運のギフトの時間。悪い顔のエース・トラッポラとは裏腹に、アズールは眉を下げている。俺にメガネを預けたアズールは下がっているようにと言って、前に出た。