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確かに！みんなが知ってたら弱みじゃなくなっちゃうもんね。
「悔しいが、アズールの慈悲のおかげで俺の親も、アジーム家も、俺がオーバーブロットした本当の理由は知らないままだ。寮生たちは…………」
そこで言葉を区切ったジャミル先輩は目を閉じる。まあ、距離を取られるはずだよ。そりゃあんな裏切り、易々と許すほうがおかしいんだ。
カリム先輩が説得してくれたおかげで副寮長の立場でいられてるみたいだ。
「スカラビア寮生は“深謀遠慮”がモットー。どいつもこいつも結論を急ぐのは避けて、誰につくのが得か、注意深く動向を窺ってるんだろうさ。俺や、カリムも含めてな」
「フフ、実にスカラビアらしい。みなさん、とんでもなく面の皮が厚くていらっしゃる。あんなことがあったのに、よく一緒にダンスなど踊れるものだ」
「フン。なんとでも言え。俺の場合、オーバーブロットの件で寮内外からの評価が地に落ちてるからな。スカラビア内外での地位向上のために、しばらくは大人しくカリムに従っておくつもりだよ」
ジャミル先輩は不敵な笑みを浮かべて、有能な働きぶりを見せつけ続けてやると言う。キャラが変わってるなあ。そっちの方がいいけどね。だって、前のだとナイトレイブンカレッジ生っぽくないし。
「カリムさんに解雇されたらいつでもオクタヴィネルへどうぞ。ジャミルさんほど有能な方なら大歓迎だ」
「それはどうも。なにがあってもオクタヴィネルにだけは絶対に転寮しないけどな」
「おーい、お前ら〜。もうそろそろ行かないと午後の授業に遅れるぜ！」
あ、そうだった。次移動教室で、西校舎まで行かないといけないんだった。あーあ、面倒だな。
エースくんたちを追いかけようとすると、アズール先輩に腕を引かれる。
「最近フロイドの機嫌が恐ろしく良好なんですが、何かしましたか？」
「へっ？え、ええっと……デート？しました」
「ああ、なるほど。あれも雄ですからね。アピールが成功していれば、機嫌も良くなるでしょう」
アピールが成功……？って、ええ！？ちが、違う！！そういうのじゃない！
アズール先輩にそう反論しても取り合ってくれなくて、渋々次の授業へ向かった。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年1月5日 23時
