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次々と湧いて出る有象無象に嫌気が差して、グリムを抱き上げた。不満そうにしているけど、学園長に話をした方が早いと思うんだ。
それで、いつも通り。そのはずだったんだけど。
＊＊＊
「白い帽子をかぶったゴーストたちに寮を乗っ取られた？」
「そうなんだゾ！アイツら突然やって来て、オンボロ寮は自分たちのものだって言いやがった！」
「姫様がどうとか、この屋敷は我が国のものだとか、言ってたんですよ」
唇を尖らせて学園長を見れば、顎に手をやって考え込む。それから思い出したように頷いた。
去年までは無人だったから放置していた、と前置きして学園長はにっこり笑う。
「今年もまた、この季節がきたんですねぇ」
「『また』？」
「何か知ってるんですね？」
ええもちろん、と学園長はニコニコする。それなら、と聞いてみれば、僕たちを追い出したのは『花嫁のゴースト』の家臣らしい。
曰く、『花嫁のゴースト』ははるか昔に滅びてしまった国のお姫様で、彼女の夢は素敵な王子様と結婚すること。まあ、その夢が叶う前に死んじゃったんだって。それで、ゴーストになってもまだ諦められない彼女は、この季節になると花婿を探しにやってくる。
オンボロ寮は彼女たちがこの世で活動するときの拠点らしい。
「そんな面倒なゴーストとっとと追い払うんだゾ！」
「追い払うのは面ど……ごほん！可哀想じゃありませんか。そっとしておいてあげましょう」
「だって彼女は、見つかるはずもない花婿を探し続けているんですから」
見つかるはずもない花婿……？何だか学園長の発言が所謂フラグに聞こえて、眉を顰める。
「花婿が見つからない？なんでなんだゾ？」
「だって彼女が花婿に望む『理想の王子様』は……180センチ以上の高身長！贅肉のついていないスリムなボディ！清潔感溢れる美肌！切れ長の瞳！チャーミングな笑顔！キューティクルが光り輝く髪！思わずキスしたくなる印象的な唇！……などの条件を全て兼ね揃えた超！！！！！ハンサム男子」
つらつらと読み上げられた条件に、さっきのことは勘違いだと思って胸を撫で下ろした。うん、そんな人いるわけない。身長の条件はクリアできる人が何人か思い当たるけど、他の条件も考えれば首を横に振るしかない。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年1月5日 23時
