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スタンバイが終わった会場で、Aは大きく深呼吸をした。息が詰まるような高揚感でどうにかなってしまいそうだった。この場にいるだけで楽しいと思うのだ。
爆豪が腕を振り上げる。どくどくと心音が耳元で響いた。
「雄英全員」
「音で殺るぞ！！」
激しい爆破とともに、音楽が鳴り響く。
「よろしくお願いしまァす！！」
耳郎の声が会場に広がり、ダンスが始まった。高い位置でポニーテールにされた髪が揺れる。弾けるような笑顔が心の底から幸せだと訴えていた。
そんな彼女に気づいた観客はヒーローAだと目を見開く。ファンサービスで浮かべる笑みとは違い、学生らしさが溢れる楽しそうな笑顔は伝播した。
あまりの可愛さに額を押さえる者も続出し、それを見たAはおかしそうに笑う。
緑谷と青山の見せ場が終われば、Aはふわりと宙に浮いた。峰田のもぎもぎとテープを骨組みに氷壁が突出する。Aがぎゅうと握った拳を前に出せば、花吹雪が舞い上がった。
最高潮に盛り上がるステージ。耳郎のアドリブに触発されたのか、Aは盛大に花火を打ち上げた。無音のまま広がる火の粉は花びらに変わる。幸運にも花びらを掴んだ観客はポムと小さく音を立てて花びらからクチナシに変わる瞬間を見ることができた。
クチナシの花言葉は『とても幸せです』。この花は今のAの心境そのものだ。
そうして、あっという間に終わってしまったライブ。頬を赤らめてニコニコと笑っているAは、ご機嫌なのか片付けを一瞬で終わらせる。
「Aちゃん、ほっぺが真っ赤よ」
「うん！楽しかったけん！」
「それは良かったわ」
蛙吹に話しかけられ、Aは幸せだと訴える表情のまま頷く。蛙吹も釣られて微笑むと、ケロケロと笑った。
会場から出てきたA組にライブを見ていた観客から声がかけられる。それも明るいものばかりで、嬉しいねと顔を見合わせた。
それも束の間、Aは警備に戻るため着替えようとすれば、無線が入る。用無しだと伝えられ、思考が止まるも、柔らかく楽しんでこいと言われれば、赤かった頬はさらに赤くなった。
「A？どうしたの？」
「警備、せんでいいって言われた……」
「じゃあ、遊びに行こー！何する！？」
「うん……うん！行く！屋台見たいし、いろんなとこ回りたい！」
若干潤んだ目と蕩けてしまいそうな笑み。間違いなく、彼女は世界で一番幸せだった。
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怜(プロフ) - そこら辺の石さん» ありがとうございます！そう言っていただけると京極ちゃんも喜ぶと思います。またどこかの作品でお会いしましょう！ (2022年12月17日 0時) (
レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の石 - あの、好きです。泣きましたいや、ちょ、本当好きです。喉を圧縮されたような悲しみです。おま、主人公お前、まだまだやり残したことあるだろうわ、すみません泣きましたありがとうございました完結おめでとうございます…！ (2022年12月15日 16時) (レス) @page39 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - レン。さん» ありがとうございます！ワンピースは書きたいんですが、ひとまず他の長編が落ち着いたらかな〜と思っています。気長にお待ちいただけるとお待ちいただけるとありがたいです！ (2022年9月1日 0時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
レン。(プロフ) - ワンピース、、、ぜひ見たいです。凄く読みたいです…!!完結おめでとうございます！！ (2022年8月29日 1時) (レス) @page39 id: 009cff3277 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2021年9月26日 5時
