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あの後帰った少女を急いで大学病院に呼び出したものはいいものの。
「これ無理。オールマイトん時とおんなじ。治癒は施せん」
「……そうか」
「せめて腹に穴空いてなけりゃいけたじゃろうけど、私の個性も限界がある」
サー・ナイトアイの容態を一目見た彼女は首を振る。Aは心の中で息をついた。
よかった。大切な人じゃなくて。
よかった。まだ深く知らない人で。
冷たいと詰られても気にしなかった。彼女は大切な人が傷つかなければいいのだ。その両手が届く範囲内でなければ何でもよかった。
繋がれた管は冷たく無機質だ。人工呼吸器も、ナイトアイが生きるには意味をなさない。
オールマイトが病院に訪れ、ナイトアイと久しぶりに言葉を交わす間、Aは外を見ていた。
無力感があったわけではない。ただ見ていたくなかった。当たり前だ。人の死に際など見るに堪えない。生命の灯火が緩やかに死に向かって、弱々しく光を発しなくなる様など、関係のない人であっても心を痛める。
途切れ途切れの言葉がオールマイトを慰める。何も恨んでいないのだと消えかかる声で精一杯伝えようと最後の力を振り絞った。
「サー！ナイトアイ！」
「…………ミリオ」
「ダメだ！生きてください！死ぬなんてダメだ！！」
涙に濡れた顔をぐしゃぐしゃに歪めて通形が叫ぶ。薄い声をかき消さんばかりの絶叫は師を失う恐怖で溢れていた。
ナイトアイは個性を使用し、通形の頬に手を添える。笑え、と自らも微笑んで最期に弟子を激励した。
「元気とユーモアのない社会に、明るい未来はやって来ない」
それきり彼は話せなくなった。心拍を記録するものは一直線になり、Aはそっとその場を離れる。
息苦しくて堪らなかった。彼女は手を伸ばせば彼を救けられると知っていたから。
では、それは彼女のせいか？否、そんなことはない。死穢八斎會がいなければ起こりうることがなかったことだ。しかし、運命は決まっていた。
死穢八斎會が企むこと、彼女がそれに巻き込まれること。そして、サー・ナイトアイが死亡するということ。全て決まっていることだった。
彼女がいくら力を持っていようが、運命は覆せない。今もこれからも。
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怜(プロフ) - そこら辺の石さん» ありがとうございます！そう言っていただけると京極ちゃんも喜ぶと思います。またどこかの作品でお会いしましょう！ (2022年12月17日 0時) (
レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の石 - あの、好きです。泣きましたいや、ちょ、本当好きです。喉を圧縮されたような悲しみです。おま、主人公お前、まだまだやり残したことあるだろうわ、すみません泣きましたありがとうございました完結おめでとうございます…！ (2022年12月15日 16時) (レス) @page39 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - レン。さん» ありがとうございます！ワンピースは書きたいんですが、ひとまず他の長編が落ち着いたらかな〜と思っています。気長にお待ちいただけるとお待ちいただけるとありがたいです！ (2022年9月1日 0時) (レス) id: 37b3e8feed (このIDを非表示/違反報告)
レン。(プロフ) - ワンピース、、、ぜひ見たいです。凄く読みたいです…!!完結おめでとうございます！！ (2022年8月29日 1時) (レス) @page39 id: 009cff3277 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2021年9月26日 5時
