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「ネージュくん!!!!」
大きな声が廊下に響く。ルーク・ハントだ。何やら話し込んで、林檎ジュースはルーク・ハントの手に渡った。
「さあ走って!さあ早く!」
その声でネージュ・リュバンシュは走り去る。白い影が俺たちを追い越して、今にも林檎ジュースを飲もうとしていたルーク・ハントから林檎ジュースを落とした。
カリムか。
カリムの後を追って、姿を現す。驚くルーク・ハント。険しい顔をしているカリムは荒い息を吐いた。
「ハァ、ハァ……ま、間に合った……!!」
「アンタたち、どうして……」
林檎ジュースが見る見るうちに床を溶かす。やっぱり呪い付きの林檎ジュースだったか。怪しいとは思っていたけど、こんなことをするなんて。
そこまでやるほど、思い詰められていたのか。馬鹿馬鹿しい、と言いたくなるのを堪える。
「──これ、ヴィルがユニーク魔法で“呪い”をかけたジュースだったんだろ?」
「にゃにっ!?」
「ライバルに呪いをかけようと……?」
「さっきネージュのリハを見た後のヴィルの顔を見て嫌な予感がしたんだ」
オーバーブロットするときに見たジャミルの顔とよく似ていたから、とカリムが言った。さすがはご主人。従者のことはよく覚えてるみたいだ。
どうして飲もうとしたってヴィル・シェーンハイトがルーク・ハントに問う。気付いていたはずだ、ルーク・ハントも。でも、飲もうとしたってことは。
「信じたかったからさ。誰よりもひたむきに努力し、高みを目指していたキミを。キミが自らの美を汚すような、愚かな真似はしないと……」
「だが同時に、もしキミがあの林檎ジュースに呪いを込めていたとしたら、味わってみたかった。狂おしいほど美への執着がこもった、毒の果実の味をね」
……変人だと思うべきか否か。
長い沈黙。ヴィル・シェーンハイトの顔色はいっそう悪くなった。
あのときの、アズールと同じだ。このままだと……。
「アタシ、わかってしまったの。“もう絶対勝てない”ってことが!!!」
「だから、アタシ…………アタシは、アタシは、ネージュをこの手で……!」
ブクブク、と音を立てて零れたジュースがさらに泡立つ。床から沸き立つ煙。吸い込めば忽ち呪いの効果が発揮されるんだろう。
気を付けろ、と言ってシガレットケースを取り出した。せめてもっと広い場所であれば良いのに。
「お願い、見ないで…………アタシをそんな目で見ないで!」
ヴィル・シェーンハイト【オーバーブロット】→←林檎ジュースと呪い
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怜(プロフ) - もち。さん» 実は仲良しさんなんです。本編には全く出てこない設定でした。3人はやきもち焼いてますが、マクミランくんには言っていないという……。今度書いてみようと思います!続編でもよろしくお願いします! (2021年2月3日 0時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
もち。(プロフ) - ツノ太郎とも仲良し!!あの三人がまた嫉妬しちゃう!!でもそんな様子がみたい!!!とはしゃいでしまいました笑マレウスはそんな様子を興味深そうにみてそう…続編も楽しみです。長いの大好物なので寧ろ嬉しいです!気長にお待ちしてます! (2021年2月2日 8時) (レス) id: 8c9f19759d (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - くっは!さん» ありがとうございます!!更新頑張りますね! (2021年1月12日 2時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
くっは!(プロフ) - ぐっ………す"き"た"あ"あ"あ"あ!!!!!続編おめでとうございますっ!!!! (2021年1月8日 22時) (レス) id: 4461b1fc8d (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - にょるさん» かなり長かったと思いますが、お疲れ様です。尊敬だなんて照れますね!ありがとうございます〜!更新頑張りますね! (2021年1月4日 2時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2021年1月2日 2時