悪魔の番外編【ヒロアカ】 (ページ8)

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Ver.夢主が敵だった：Part3 ページ8

｢A、準備はいいか？｣

｢もちろん、いつでもいいよ｣

今日は雄英校を襲撃する日だ。先日弔と黒霧さんでカリキュラムをもらってきたらしい。その時わたしは寝ていたんだけど。まあ、そのカリキュラムによれば今日が襲撃に最適な日らしい。
成功させないと。カミサマたちへの恩返しの一歩目。

｢そんなに気負う必要はありませんよ｣

黒霧さんがゆらりと微笑んだ。弔が覆われた手の奥で綺麗なその瞳を光らせた。

ああ、そっか。わたし、1人じゃないんだもの。みんながいてくれるから、成功しないわけがないんだ。

｢もう大丈夫だよ。絶対成功させよう｣

余計な力が抜けていく。黒い霧の向こう、ヒーローが巣食う世界へ足を踏み入れた。

＊＊＊

そこは地獄と化す。1人のプロヒーロー___確かイレイザーヘッドって人___が広場で寄せ集めた敵たちを蹴散らしていく。その間に黒霧さんが雄英の生徒たちを散り散りにした。

弔とわたしで悠々とそれらを眺める。虎視眈眈とその時を待ちながら、NO.1ヒーローの崩壊を心待ちにして。

不意にイレイザーヘッドと目が合う。正確にはゴーグルのせいで目が合ったかは分からないけど、きっと目が合ったはず。だって、彼は息を呑んで、歯を食いしばったから。

きっとわたしのことを知っているんだろう。未だに迷宮入りしたあの事件のことを突く人はいて、両親の顔写真はもちろんのこと、わたしの顔写真だってネットに上がっている。疑問が生まれたはずだ。

わたしは死んでいるはずなのだから。

それに気付いた弔がイレイザーヘッドの元へ行く。肘を壊す。小さく話していた声は聞こえなかったけれど、脳無が動き出したことからそっち関係かな、なんて推測した。

｢Aの出番はなさそうだな｣

｢だね、なんで来たのか分かんないや｣

小さく欠伸を零して、プロヒーローが壊れていくさまを徒然として見ていた。