Ver.心操人使と：Part2 ページ48
「俺はもう何十歩も出遅れてる。悪いけど、必死です。立派なヒーローになって、俺の“個性”を人の為に使いたい。この場の皆が越えるべき壁です。慣れ合うつもりはありません」
ギラついた挨拶に触発されて、目の奥が熱くなる。スイッチが入ったわたしを察したのか、勝己くんも楽しそうに笑った。ひとまず、落ち着いて先生の説明を聞く。
4人1組のチーム戦。先に4人捕まえた方が勝ちだけど…。
心操くんを加えて42人。5人チームができあがってしまうね。心操くんは二回出ることが確定してるみたいだし。ハンデとして心操くんが入るのなら、もう一つの5人チームはどうなるんだろ？ハンデにならないよ。
「なので、降魔はチームじゃなくて、個人戦です」
「なんてこと……。そんなこと繰り返してたら、わたし協調性ゼロになっちゃいますよ！」
「安心しろ。大丈夫だ」
「何を持って大丈夫だと！？」
捕縛武器を掴んだその手を下ろしてもらうために、口を噤んだ。
ひどい！都合が悪くなったら武力行使なんて！
口の中で文句を言っていると、勝己くんがまたわたしを撫で始める。それで機嫌を直すわたしだと……。
「俺も二回やれば良いだろ。Aと一緒に」
「勝己くん…！！」
「……様子見だな」
眉を寄せた勝己くんの手をそっと触る。ありがとう、の意味を込めてポンッと叩けば、眉間の皺がなくなった。
面倒見の良い友達を持って、わたしは幸せだなあ。
それから、くじ引きをしに行った勝己くんを見送ると、目の前に影が差す。見上げてみれば、心操くんが困ったように頬を掻いて立っていた。
「さっきの、馴れ合うつもりはないっていうの…」
「…？ああ！うん、どうかした？」
恥ずかしそうにはにかみながら、心操くんは口を開く。
「降魔以外のことだから」
それだけ、と踵を返していった心操くんの背を見つめた。
…………。とても恥ずかしいんだけど。
その後、くじ引きから帰ってきた勝己くんに怪訝そうな顔をされたのは、わたしが真っ赤だったせいだと思う。
【完】
＊＊＊
本当は他チームVS爆豪、降魔も入れたかったんですけど！！次巻が出るまでお預けとしますね！！！(番外編もそろそろ続編へ行くのだ)(へけっ！！！！！)
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作者名：怜
| 作成日時：2018年5月10日 20時
