HBD：Ver.相澤消太 ページ46
無自覚両片思い設定です……おいしい……。
＊＊＊
放課後、職員室へ向かう。今日は相澤先生の誕生日ということをマイク先生に聞いたから、何か手伝えたら、と思ったんだ。
｢失礼します｣
ノックしてそう言いながら入ると、目の前に相澤先生がいた。暫く見つめ合うと、2人して吹き出す。
一頻り笑うと、先生は横にずれた。
｢今日は先生に用事があるんですよ｣
｢俺に、か？手合わせは無理だぞ｣
｢違いますって｣
首を傾げる先生。
マイク先生が言ってた通り、自分の誕生日なんて覚えてないんだ。先生らしいけどね。
ちゃんと目を見て、笑ってこう言った。
｢ハッピーバースデー、先生。お手伝いしますよ｣
｢あー……そうか…｣
ぼりぼり、と頭を掻いて、納得したような声を出す先生。
どんな雑用が来るか、と身構えていれば、ずっと唸ったままだ。
どうしたんだろう？いつもならポンポン雑用が出るはずなんだけど…。
わたしも首を傾げて、先生を見上げる。
｢あ…一つあったな、お前にもできること｣
｢なんです？｣
｢降魔が大好きな書類作成だ｣
ニヤッと笑う先生にため息しか出ない。むしろ嫌いですよ、と呟けば、先生はくつくつと笑った。
場所を変える、と言って歩いていった先生の後ろをついていく。見慣れた教室に入っていった先生。A組の教室だ。
１箇所に机を集めて、くっつける。一束の書類を渡されて、仕方なく整理し始めた。
沈黙の中、淡々と時間は進んで。書類作成が終わった頃、外は茜色に染まっていた。
｢先生、終わりましたよ｣
｢そうか、ありがとな｣
頭を撫でられて照れる。赤くなった頬を隠すために書類を顔付近に持ち上げた。
それを片手で押さえてわたしの顔を見ると、先生は満足げに笑う。
｢あ、あの…帰るので…｣
そそくさと片付けて席を立つと、先生はわたしの腕を掴んだ。下から見上げられ、少しドキドキする。
｢ありがとな、降魔。助かった｣
｢どういたしまして、です｣
【完】
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作者名：怜
| 作成日時：2018年5月10日 20時
