悪魔の番外編【ヒロアカ】 (ページ26)

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Ver.死穢八斎會と遭遇した：Part1 ページ26

注意！！これは本編とは全く関係の無い、ifの話となっております。勘違いしちゃだめだぞ！

＊＊＊

｢どうしてこうなったんだろう…｣

必要最低限の家具しか置かれていない部屋で独りごちる。わたしが今いるところは死穢八斎會というヤクザさんのところだ。いや、怖いよね。いきなり誘拐されるなんて、誰が考えつくだろう。

ああ、相澤先生に休みの連絡してない。迷惑かけちゃうなあ。

そんな現実逃避をしていると、ガチャリと恐怖の音を立てながらドアが開く。黒のペストマスクに、赤みがかった黒髪。その圧倒的なオーラに心が揺れた。
……話を聞いてはいけない。潰される。

｢乱暴な真似をしてしまったな。詫びよう｣

上っ面だけの笑みを浮かべて、わたしのリュックを投げた。それを上手くキャッチして、中を漁る。携帯は…ない。連絡すら取らしてくれないんだ。

｢オーバーホールだ。お前は降魔Aで合ってるな？｣

｢…はい｣

声が無意識に震えた。何が時代遅れの天然記念物だ。この人は敵だ。敵予備軍なんて、生ぬるい。
その人はじろじろとわたしを見て、満足そうに頷いた。何だろう。そろりと視線を上げて驚く。その人の目には、ただ愛執のような歪んだ黒いものが浮かんでいるだけだった。

おかしい！おかしいおかしい！なんなのだ、あれは！

訳もわからず逃げ出したい恐怖に駆られる。それをぐっと堪えるように手を握りしめた。
ここで逃げたらいけない。死んでしまう、殺されてしまう。
呼吸が上手くできなくて、息が喉に張り付いた。顔を下げて、あの人を見ないように目を閉じる。そうしたら少し落ち着いた。

｢……顔を上げろ｣

不快そうな低い声が耳を刺す。従わないと殺す、とでも言いたげなその音は、よく部屋に響いた。
機嫌を損なってしまったらゲームオーバー。慈悲なんてない。
慌てて上げた顔は恐怖で歪んでいたはずなのに、その人は至極楽しそうだった。

不意に着信音が鳴り響く。聞き慣れたそれはわたしの携帯の着信音だ。音の発生源は……。

｢…お茶子？友人か？｣

当然のようにポケットから取り出すその仕草に、鳥肌が立つ。小さく頷くと携帯を操作して、スピーカーにした。

『Aちゃん？』

｢お、お茶子ちゃん？｣

『良かった～！心配したんよ！』

お茶子ちゃんの明るい声が耳朶を打って、ひどく安心する。それに鋭い視線が向けられた。

ここに安堵はない、そう言っているようだった。