Ver.幼児化した：Part3 ページ18
side：相澤消太
＊＊＊
教室に入ると集まる視線。それはすぐに降魔に注がれる。きょとんと口を小さく開けて呆けている降魔を促して、自己紹介をさせた。
｢A、ごさいです！｣
｢小さくなった降魔だ。何か知ってることが合ったら俺に言うように。以上｣
今度は生徒らが呆ける番だった。知っていた蛙吹、麗日、緑谷は苦笑して、小さく降魔に手を振る。それを受けて降魔は体を大きく動かして応えた。
降魔を席につかせて、いつも通りHRをする。と言っても、今日は特に連絡事項はない。降魔について少し言ったあと、終わりにした。途端降魔の席の周りに集まり出して、騒ぎ始める生徒。こんな風に詰め寄られるのは慣れていないのか、若干降魔が怯えているが、そこは緑谷が上手くカバーをしていた。
それから数分、あと少しで1時限目が始まると言った頃。大きな音を立ててドアが開いた。そこに立っていたのはサポート科の、確か発目明だ。発目は降魔をまじまじと見ると、いきなり叫び始めた。
｢やりました！！ついに私の可愛いベイビーちゃんの完成です！！｣
｢は、発目さん……なんで1-Aに？｣
｢それはですね！降魔さんに渡した薬の効果を見に来たんです！｣
緑谷に身振り手振り大きく説明しながら興奮している発目。説明が終わったと思いきや、降魔の前で仁王立ちすると撫でながらお礼を言い始めた。随分と面倒くさいことに巻き込まれたな、降魔は。頭の上にはてなマークを量産している降魔は、よく分からないまま、どういたしましてと元気に言っていた。
｢発目、薬の効果は何時間なんだ？｣
｢効果はまちまちなんですよ。5時間から24時間くらい振れ幅がありまして｣
ということは、今日の昼くらいまでから明日までってことになるな。
｢あんまりうちの生徒で試すなよ｣
｢これっきりにしますって！｣
信用出来ないその言葉を聞いて、教室から出ていく。職員室に戻ろうとすると、降魔が着いてきていた。
｢しょうた、Aもいっしょじゃだめ？｣
｢勉強しないのか？｣
｢みんなのじゃまになっちゃうの…｣
悲しそうにする降魔を抱き上げる。そうすると笑顔になって嬉しそうに鼻歌を歌い出した。
｢昼になったらあいつらのとこに行ってやれよ｣
｢うん！｣
そのまま職員室に戻ると、案の定詰め寄られた。まあ、降魔は楽しそうだったがな。
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作者名：怜
| 作成日時：2018年5月10日 20時
