Ver.猫耳尻尾が生えた：Part3 ページ14
それから休憩時間の度に撫でられ続け、漸くお昼になった。ぐったりとして机に伏せていると、峰田くんが鼻息荒く話しかけてくる。
｢降魔！オイラにもその尻尾触らしてくれ！｣
若干涎が垂れている峰田くんが怖くて、椅子を倒す勢いで立ち上がる。周りを見渡すとお昼時だからか、人が少なくて。頼れそうな人を探していると、梅雨ちゃんがドアから入ってくるのが見えた。
｢つ、梅雨ちゃーん！！｣
｢あっ！降魔逃げんな！！オイラに猫耳尻尾を恵んでくれえ！！｣
｢峰田ちゃん、アウトよ｣
頼れる梅雨ちゃんによって峰田くんが退治された後、落ち着いてご飯を食べ始める。もぐもぐと咀嚼をしていると、梅雨ちゃんが前の席に座ってこちらを見つめてきた。
｢……どうしたの？｣
｢いえ、Aちゃんの尻尾がご機嫌だから、見ていて楽しいのよ｣
ケロケロと幸せそうに微笑む梅雨ちゃんに、すきと零すと私もと返されて、嬉しくなる。
そのまま幸せ気分でご飯を終えると、ガラリと大きなドアが開いて相澤先生が入ってきた。視線が合うと手招きされる。
｢どうかしましたか？｣
｢犯人が見つかったぞ｣
犯人…つまりこの猫耳尻尾をつけた張本人が見つかったということで。なんでこんなことをしたのか、聞かないといけないね。
｢つってもこれから授業だ。放課後な｣
｢分かりました｣
そう言われても気になってしまうもので、尻尾の先がゆらりと揺れる。耳だってさっきから落ち着きがなく、ひょこひょこと忙しそうに動いた。
｢…猫だな｣
｢動いちゃうんですよ、これ…｣
本当に自分が猫になったのだと錯覚してしまうくらいには、よく動く。逐一その感情を示すかのように、大袈裟なほど揺れるのだ。これだけは恥ずかしくて、どうも慣れない。
｢まあ、忘れんなよ｣
そのまま踵を返して遠ざかっていく相澤先生を見送って、わたしも席についた。
早く放課後にならないかな。
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作者名：怜
| 作成日時：2018年5月10日 20時
