魔力よりタバコをくれ 七本目【ツイステ】

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side：ジェイド

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今日は転入生が帰る日。この日をどれだけ待ちわびたことでしょう。Aにも言っていないお楽しみがあるんです。アズールが特別に交渉してくれた、大切な日。


「しくじらないようにしてくださいよ」

「僕たちがしくじったことなんてないでしょう？」

「そーそー。アズールはちゃんとAの気引いててね」


僕たちを睨んで馬車に乗り込むあの人間。

Aに近づかないように、と契約書にサインさせてから、何も問題なく過ごせましたが。あちらにとってはそうではなかったようですね。まあ、当然です。
害虫ごときがAに近づくなんて烏滸がましいでしょう？それに、今日まで何事もなかったのですから。それを喜ぶべきです。
ええ、今日まで、ですよ。


「使ったローブは燃やして処分することを忘れないように」

「はい。証拠一つ残しませんよ」

「馬車もぶっ壊して良いんでしょ？」

「はい。古い馬車だそうで、もう処分する代物ですから」


ニヤリ、と口角が上がる。
随分と我慢しましたよ。今回、アズールは手を下せなくて残念ですね。加担したことには変わりないですが、やはり敵は自分の手で屠るのが醍醐味でしょう。

待ちきれない、と言わんばかりに前傾姿勢を取るフロイド。馬車が出発して、宙を駆けていった。
あの馬車が通るルートは暗記済み。森を通るまであと十数分、といったところでしょうか。


「フロイド。鏡の間に向かいましょう」

「あは、楽しみぃ」


ええ、楽しみです。
Aを見た汚い目を抉り出しましょう。Aに触れた汚い手を切り落としましょう。二度と話せないように、口を縫い合わせるのもいいかもしれませんね。


「あ、そーだぁ！」

「そうですね」


「アズール、ありがとぉ」
「アズール、ありがとうございます」

「構いませんよ。徹底的にお願いしますね」

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