魔力よりタバコをくれ 二本目【ツイステ】

穏やかな寝顔と特権 ページ15

side：フロイド

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ジェイドが持ってきたホットミルクを飲むと、うつらうつらと船を漕ぎ出すシャチちゃん。マグカップを受け取って優しく体を倒すと、すぐに眠ってしまった。


「さて、Aがこんなになってしまったのはどうしてだと思います？」

「ぜぇったい、最近出来た後輩のせいにいっぴょー！」

「奇遇ですね。僕もそう思います」


やっぱりさ、魔法が使えない甘ちゃんにシャチちゃんはもったいないよ。だから、はやく転寮すれば良いって言ってたのに。

前髪を優しく避けてあげて、少し熱いおでこに手をのせた。


ストレスマックスになったシャチちゃんは熱を出す。オーバーブロットしない代わりに、シャチちゃんは体が弱い。喧嘩とか強いのに、病魔ってやつにはすごく弱い。
その度にオレたちは気が気じゃなくて。ずぅっとそばにいなくちゃ、消えちゃうんじゃないかって心配になる。

さりげなくストレスの要因は遠ざけて、大事に大事に囲んでも、こうなっちゃうくらいなら。無理矢理にでも海の底に連れて行った方がいいんじゃないかって。


「フロイド。歯軋りすると自慢の歯が削れますよ」

「……分かってるってぇ」


ジェイドだって、目が笑ってないじゃん。人のこと言えねーし。


「それにしても誤算ですね。Aが適度に息抜きをしないはずがないのに、倒れてしまうと言うことは……」

「アズール」


自分でも驚くくらい低い声が出る。
その先は聞きたくない。だって、そういうことだ。

無理して倒れるほど、そいつのことが気に入ってるってこと。
今までそれはオレらだけの特権だったのに。

あー、ほんと。


「ムカつく」

「ええ、本当に」

「穏便に済ませましょう。Aに気づかれてはいけない」


シャチちゃんは可哀想な(かわいい)子。

オレらに気に入られたんだから。

最期まで絶対離してやんない。

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