悪魔の英雄記【ヒロアカ】 (ページ5)

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「んー……おしい！」

「さすがだな、緑谷君」

「まさかかっちゃんの記録にここまで迫れるなんて…」

「だー！クソありえねー！もっかい突き放したらあ！」

目を釣り上げて言う爆豪くん。そんなとき冷気が漂って、ステージが勢いよく凍っていく。あれって……。
すぐさまステージに視線を走らせてやっぱり、と頷いた。轟くんだ。

記録は14秒。わたしと同じだってはしゃいでいると、爆豪くんがステージに降りていってしまった。轟くんに詰め寄って怒鳴りつけているのを見て、今度はあわあわと口を押さえる。

「みんな止めるんだ！雄英の恥部が世間に晒されてしまう！」

「おう」

「う、うん」

切島くんと緑谷くんがステージに降りていくから、わたしも翼を広げて降りる。
ああなった爆豪くんを止めるのって大変なんだけどなあ。

必死に腕を引っ張っても爆豪くんは止まらない。羽交い締めされてもなお暴れている爆豪くん。解散したほうが早いんじゃないかな、これ。

緑谷くんもそう思ったみたいで、またあとでって言い残して轟くんを引っ張っていった。懸命な判断だと思うよ。だって、爆豪くんが噛みつく相手がいたら終わらないもん。

「これからどうしよっか？」

「来い」

「え、なに？」

爆豪くんに手を引かれて歩き出す。切島くんも不思議そうにしながらついてきて、2人で首を傾げていると、自販機の前に連れてこられた。
どうしたのって言うと、爆豪くんは馬鹿にするように笑って自販機を顎で指す。

「お前が1位だったろーが」

「え、奢ってくれるの？」

「はよ選べや」

てっきり奢ってくれないと思ってたんだけど。そういうところ、ちゃんとしてるよね、爆豪くん。

ニコニコ笑って自販機を眺める。どれにしようかな。あ、冷たいココアがある。りんごジュースもいいな。

「う～ん……うん！りんごジュースにする」

「子どもかよ」

そう言って爆豪くんはおかしそうに笑う。まだ子どもだけどって頬を膨らませた。