Chapter.5─2人の英雄─ ページ14
風力発電システムを抜けて、緑谷くんを追いかけるためにひたすら廊下を走る。時折出てくる警備マシンは少し前からいなくなった。
警備システムが元に戻ったんだと思う。メリッサさんと緑谷くんがやってくれたんだ。あとは緑谷くんたちに追いつくだけなんだけど。
「最上階のシステムルーム……ここだ！」
「飯田くん！」
飯田くんたちもちょうどシステムルームに辿り着いたみたいで、ようやく合流できた。
良かった、無事で。いくら信頼してるって言っても、心配になっちゃうからね。
「中にはデク君おらんよ！」
「え、じゃあどこに……？」
そんなとき、上から大きな音と振動が伝わる。パラパラと天井から崩れ落ちた破片が落ちてきた。
上は確かヘリポートがあったはず。そこで何かが起きてるのだとしたら……！
不意にわたしの携帯が鳴る。画面を見れば、ハカセからだった。
「もしもし」
『ああ、良かった。無事だね』
「はい。ハカセも無事で良かったです」
『さぁて、お小言はいっぱいあるけど、まずは伝えるべきことを伝えようか』
携帯越しに機械の始動音が聞こえる。ハカセが片手間に操作してるパソコンの音かな。
状況を把握したハカセは息を呑むと、早口にこう言った。
『現在ヘリポートで敵とオールマイト、それと少年が交戦中。ハァ、全く言いたくないことを言わなきゃいけない機会が巡ってくるなんてね』
「ハカセ、そんなこと言ってる場合じゃないですよ」
『え〜。あー、そうだね。後でAちゃんに怒られるのは嫌だからね』
カタカタ、とキーボードを鳴らす音。
『コホンッ。実験体No.H-01に通達。エイデン＝アラテスラが戦闘を許可する。至急ヘリポートに向かい、オールマイトと少年のサポート、及び敵の拘束を命じる』
「了解！」
『あーあ、書かなきゃいけない始末書が増えた』
「手伝いますから！じゃあ、また後で」
そう言って通話を切る。スピーカーにしていたから、みんなにも聞こえてるだろうし、状況は理解できたよね。
「実験体？」
「それはあとで！早くヘリポートに行こう！」
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作者名：怜
| 作成日時：2019年2月23日 21時
