19-4 ページ39
いくら倒しても無尽蔵に湧いてくる脳無。焦れったいと乱雑になる攻撃は、それでも味方には当たらない。ここに人がいなければ、火力の高い技を出すだろうが、そうもいかない。
苛立ち紛れの舌打ち。徐々に数が減っているのは分かるものの、既に体感で7分ほど経過している。長引けば長引くほど、敵に遅れを取ってしまう。
何かいい案はないものかと考え、そこでAははたと思考を止めた。
どうして私は頑張っているの。どうして私はヒーローのように戦っているの。
根津に言われたから？相澤に頼まれたから？爆豪を助けなければいけないから？
否、そんなもの、私が心を砕く要因にはなりえない。では、なぜ？
周囲の音が遠ざかる。刀を下ろし、銃を手放す。チカチカと瞬く瞳は徐々に紫紺へ戻っていった。ぎこちなく顔を上げ、周りを見る。
脳無、警察官、ヒーロー。彼らの目的は一致している。では、彼女の目的は？
「貴様ァ！死にたいか！」
「……そう」
「は？」
迫る脳無をエンデヴァーが焼き払い、Aに声をかける。ぽつり、と呟いたAはエンデヴァーを見ると、ニタァと笑った。
「私は……あいつを、」
「そう、そうだよ。どうしてこんな遠回りしよったんじゃろう」
「もっと簡単な方法があるのにね」
紫紺に黒と赤が混じる。瞬きの間に起こった突風は今いる脳無の半分を攫い、ミキサーのようにぐちゃぐちゃの肉塊へと変えてしまった。顔を輝かせているAは生き生きとしており、周囲の人に恐怖と不安を与える。
「行ってくるけん、任せる！」
「待て！持ち場を……離れるな、とあれほど……」
あっという間にいなくなるA。エンデヴァーの言葉は尻すぼみになり、ため息をついた。そして辺りを見渡し、さらに深くため息をつく。
「任せるというのは後処理のことか。舐めた真似を」
既に事切れた脳無が転がっている現場を目の当たりにして、いい気分にはなれなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 749人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - 夜にラーメンを食べた罪人のモブさん» ありがとうございます！今後の展開がどうなるかはまだ決めてませんが、更新頑張りますので、今後もどうぞお楽しみに！ (2021年8月29日 6時) (
レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
夜にラーメンを食べた罪人のモブ - めちょめちょこの話面白いです！！！こっからの展開がものすごく気になります！！更新ほんま頑張ってください！！応援しまくってます！！ (2021年8月26日 5時) (レス) id: 485c7d75ea (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 美咲さん» ありがとうございます。頑張りますね！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 作者さま、おっけーです！面白いですからねー！ごゆっくり！！！ (2021年8月13日 20時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - レン。@人間失格さん» ヒロアカ映画で再熱しまして…頻度は少ないですが、こちらも少しずつ更新していこうと思っておりますので、お楽しみに！ (2021年8月11日 21時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2019年1月9日 22時
